強引上司は虎視眈々と彼女を狙ってる【7/12番外編追加】
だって、こんなに量があるのにどの定食も1000円を切っているんだもん!

美味い、早い、安い、そして量も多いとくれば、普段時間に追われているサラリーマンやガテン系の人たちから贔屓にされるのも頷ける。


それにしても…部長のご飯、ヤバイですよ!と大爆笑している私を、部長は良かった、と優しく笑った。

ん?と思っていると、

「ほんとはさ、初めてのデートだし、もっと洒落た店の方が良かったかもと思ったんだけど」

「私、藤よしを行きつけの居酒屋にしてる女ですよ?洒落た店よりも、こういう方が好きに決まってんじゃないですか」

はっとした顔をして固まってしまった部長に、
にひひ、と笑っていただきます、と豪快に唐揚げを1つ口に放り込む。

サクッと小気味良い音がして、その瞬間じゅわっと口の中に溢れる肉汁。揚げたてだから熱々だ。

はふはふしながら咀嚼すると、お肉に染み込んだ醤油ベースのタレとニンニクの風味が鼻を抜ける。


…何コレ、めちゃくちゃ美味しいじゃないですか!と言いたいのに、1つ1つが大きな唐揚げをひと口で食べてしまったもんだから、この感動をすぐに部長に伝えられないもどかしさよ…!

取り急ぎ、身振り手振りと目で美味しいと訴えた。
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