強引上司は虎視眈々と彼女を狙ってる【7/12番外編追加】

「ふはっ！蕎麦屋で染み取り剤とか塩タブレットとか、お前ら何やってんの」

部長が吹き出した。

そしてあまりにも自然に、「一華、俺にもコーヒーちょうだい」とか言うもんだから、ぶっ、部長！お客様の前ですよ！と慌てて部長を見る。

「あ、平気。翼、俺の大学時代の同期だから」

…へっ⁉︎大学時代の同期⁉︎

「ふふっ。そうなの！改めまして、藤吾の大学の同期で今はMホールディングスでアカウントプランナーやってます、畑中　翼（ﾊﾀﾅｶ ﾂﾊﾞｻ）です。御社の新商品担当になったので、これからちょくちょくお世話になります！」

私に名刺を渡してくれる。

「あ、すいませんっ私今名刺持ってなくて…！」

総務部の私は社内での仕事がほとんどで、社外の人と名刺交換する機会なんて滅多にないから名刺を持ち歩いていない。

「いいのいいの！藤吾の彼女の一華ちゃんでしょ？さっき聞いちゃったんだー。まさかお蕎麦屋さんで相席した女の子が一華ちゃんだったとは、思ってもみなかったけどね！」

…私の名刺の肩書きは部長の彼女ではないけれど、部長がそう紹介してくれていたことが嬉しい。

部長の大学時代の同期がお蕎麦屋さんのお姉さんで、これからうちの新商品の広告、宣伝を担当してくれるアカウントプランナーさんで。

なんていうか、世間は狭い。