強引上司は虎視眈々と彼女を狙ってる【7/12番外編追加】
なんて思っていたら、

「…ねぇ、一華ちゃん、藤吾ちゃんと優しい?この人、すぐ人のこと揶揄って来るでしょう?」

翼さんにニヤニヤ顔で問われた。

「うるせーよ」

「…あ、えと、揶揄ってもきますけど、優しいです、よ?」

「…一華も、こいつ相手にまともに答えなくていいから」

あ、部長がちょっと照れている。

「へぇー、優しいんだ藤吾?私のことなんて、昔はオヤジだなんだって散々揶揄ってきたくせに」

こんな乙女捕まえて、ひどいと思わない⁉︎と翼さんが思い出し怒りしていると、

「誰が乙女だ、誰が」

と部長が突っ込む。

「っつーかお前は打ち合わせに来たんだろ。仕事をしろ、仕事を」

「えー、もっと一華ちゃんと話したーい!あ!じゃあ今日仕事終わったら3人で飲まない⁉︎」

「飲まねーし」

「じゃあ藤吾は来なくていいよ、一華ちゃんと2人で飲みに行くー」

「えっ⁉︎」

「ふふっ、藤吾の大学時代のアレコレ、色々教えてあげる」

ニヤリ悪い顔で笑う翼さん。

「おいこら、一華に余計なこと吹き込もうとするな。2人で行かせるくらいなら俺も行く」

「そう来なくっちゃ!」

部長がまんまと翼さんに乗せられている。

このポンポン軽口を叩き合う感じ、仲が良いんだなぁ。
大学時代も2人はきっとこんな感じだったんだろう。

彼女と紹介してくれたことで安心していた私は、ただの同期よりもちょっと親しげなこの2人の雰囲気を、この時は特に気にもとめていなかった。
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