強引上司は虎視眈々と彼女を狙ってる【7/12番外編追加】
「企画部にいるのでもしかしたら翼さん会う機会あるかも知れないです、その同期。向井って言うんですけど」

ーあれ以来、向井は今までと変わらず普通に接してくれている。
2人で飲みに行くことこそなくなったものの、月1の同期会でも相変わらず私を女の皮を被ったオヤジだと揶揄ってきたりして、私はそれに怒りながらも今まで通りでいてくれる向井に感謝していた。

「えー、藤吾みたいなのがもう1人いるの?ここの企画部には…」

「あ、見た目は全然違いますよ!部長とはまた別の部類の中性的なイケメンで。でも…ふがっ」

人のこと揶揄うところはそっくりですけど、と続けようと思ったら突然部長の大きな手のひらが私の口を塞いだ。

「…もういいだろ向井の話は」

部長がちょっと不機嫌そうに言う。

その様子を見ていた翼さんはぽかーん。

「…………え、藤吾がやきもち焼いてる………藤吾ってやきもち焼いたりする人だったっけ?」

「…お前、うるさい」

ちらっと部長を見やると、ちょっと耳を赤くしてむすっと翼さんを睨む部長。

え、部長が向井にやきもち…嬉しい…

「一華はニヤニヤするな」

あ、バレた。口を塞いでいた手で今度はほっぺを軽くつねられた。
< 133 / 158 >

この作品をシェア

pagetop