強引上司は虎視眈々と彼女を狙ってる【7/12番外編追加】
一人暮らしで独り身の私にとって、お帰りという言葉は身に染みる…


カウンターの端に座る部長の隣に腰掛けながらお絞りで手を拭く。

イヤリングを付けている右の耳たぶが少し痛みを主張してきたので外してテーブルに置く。

仕事中に付けていても派手すぎない、横に3粒小さめのパールが並んだお気に入りのイヤリングだ。


カウンターの反対の端には40代くらいのサラリーマンが時折慶子ママと雑談をしながら飲んでいて、テーブル席は4席中3席が埋まっている。

6月上旬の梅雨時期。

雨は夕方に止んだけど、湿気むんむんのじめじめした空気と温い温度が頭のてっぺんから足の爪先までまとわりついている気がして、こういう時私がおじさんだったら迷わずお絞りで顔拭いちゃうな、と思う。

…あぁ、こういうところ!
こういうところだよ、向井に女の皮を被ったオヤジと言われてしまうのは…

はぁ…

「…ってお前、人の枝豆掻っ攫うな」
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