強引上司は虎視眈々と彼女を狙ってる【7/12番外編追加】
すいませーん、と心にもない謝罪をしながら部長から頂戴した枝豆をぷち、ぷち、と口に放り込んでいると、

「はい、一華ちゃん!」

と生ビールと冷奴と肉じゃがが来た。




宇野部長と私はいわゆる飲み友達だ。

総務部と企画部はオフィスのある階が違う上に仕事上深く関わることもそんなにない。

そんな私が社内でも一目置かれている部長にセクハラだなんだとあんな軽口を叩けるのは、たまにお酒を酌み交わす飲み友達だからだ。

1年くらい前だったか、向井と部長が飲んでいる所に何故か呼び出されて3人で飲んだことがあった。

向井も企画部で、宇野部長は直属の上司。

向井が企画部に配属された時、教育係をしていたのがまだ部長に昇進する前の宇野部長だったらしい。

その時に実は部長と自宅最寄り駅が一緒で、しかも行きつけの飲み屋が同じ藤よしだと言うことが判明して以来、約束して飲むまでではないがいたら一緒に飲む、みたいな暗黙のルールが出来上がっていた。

そしてたった1回3人で飲んだだけなのに、その1回で私の向井に対する恋心が部長にバレた。

部長曰く、私の「向井を見る目が優しかった」らしい。
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