強引上司は虎視眈々と彼女を狙ってる【7/12番外編追加】
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「お前さ、適当な気持ちで三好に手ぇ出しりしたら、わかってんだろーな?」
向井の声で我に返る。
私の肩を抱いている小野の手をぱしんと払い落とし、今度は向井がぐいっと私を自分の方へ抱き寄せる。
わっ!
思いの外強い力だったため、私は向井にもたれる形になってしまう。
その様子を見ていた由香里とみっちゃんはニヤニヤ。
「何だよ向井ー。ヤキモチかよ?」
小野までもがニヤニヤしながら向井を見る。
うーん。
小野、残念ながらヤキモチじゃないんだなー。
向井には、醸し出すフェロモンに似つかわしくない子供っぽい所がある。
これはなんていうか、子供が自分の遊んでいるおもちゃを取られそうになった時の心境とでも言いましょうか…
独占欲、とはちょっと違う、所有欲?
こういうことは今までも結構あって、それが私たちが付き合ってるんじゃないかと思われていた原因にもなっているのだけど、向井にはみんなが思っているようなそういう気持ちは全くない。
全くないのにこういうことを平気でするから困る。
私ばっかりがドキドキしちゃうから。