強引上司は虎視眈々と彼女を狙ってる【7/12番外編追加】
すると布団を掛けている手を掴まれ、

「…じゃあ今度お前が年1の風邪引いたら、俺が看病してやる…」

と呟いた部長。

え、と思った瞬間にはもう部長の目は閉じられていて、すぅすぅと規則正しい寝息だけが聞こえて来た。

…夢現(ゆめうつつ)で言ったことかもしれないけれど、ちょっとびっくりした。

はは、部長が看病してくれるんだって。

部長が氷枕作って冷却シートを貼ってくれて?

風邪の時にはわがまま言いたくなっちゃうから、桃の缶詰食べさせてって言ったら食べさせてくれたりするのかな?

…全然想像出来ない。

でもそれはそれで悪くない、なんて思う。

よし、年1の風邪引いたら呼びつけてやろう。

覚えてないって言われても知ーらない。

掴まれていた腕をそっと外し、冷蔵庫に冷却シートとペットボトルの水を取りに行く。

寝室に戻って、水はベッドサイドの小さなテーブルに置いておく。

すぅすぅ寝息を立てる部長のおでこにそっと冷却シートを貼ると、きゅうっと眉間に皺が寄る。

ふふ、冷たかったのね。
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