強引上司は虎視眈々と彼女を狙ってる【7/12番外編追加】
「だな。…でも、ま、三好が好きなのは向井で、その向井もようやく自分の気持ちを自覚したんだからこれで晴れて両想いって奴だな。良かったな、三好」
部長が寂しそうに笑って、私の頭をいつものようにわしゃわしゃと撫でる。
ポーン。するとちょうどこの階に停まった下りのエレベーター。
ホテルスタッフと思しき人が降りてくる。
すると私の頭からすっ、と手が離れ、
「…じゃ、俺先帰るわ、みんなによろしく言っといて」
と部長がエレベーターに向かう。
……違う。
違うよ、部長。
"そんなんじゃない"
さっきは咄嗟に否定してしまったけれど、本当はもう分かっている。
『…一華、今どっちにヤキモチ妬いてるの?向井?それとも部長?』
さっきの由香里の声が頭の中で木霊する。
くっつかないで。ベタベタ触らないで。
さっき私がそう思っていたのは……
向井に対してじゃない。
部長に対してだった。
一体いつからだったのかは分からない。