神殺しのクロノスタシスⅢ
新しい教師が増えて。

しかも、その新しい教師は、聖魔騎士団魔導部隊からの派遣。

聖魔騎士団魔導部隊と言えば、この学院の生徒にとっては、憧れの存在。

そんなところからやって来て、しかもこれまた容姿端麗な若い先生で、生徒達は喜んでいる。

シルナ・エインリー学院長もまた、喜んでいた。

何せこれまで、この学院の養護教員は、彼の分身が担っていたのだから。

回復魔法専門の魔導師が、養護教員として赴任してきてくれれば、頼もしいことこの上ない。

天音さんの赴任に当たって、僕が事前に知らされたとき、

「天音君は頼れるし、私も楽が出来るよ~」

「あぁ良かった。ようやくまともな教師が来てくれて。何処ぞの読心教師が来てからと言うもの、学院の風紀が乱れに乱れて…」

「え?誰のことですか。なんて卑劣な教師でしょう。僕が成敗してきますよ」

「どう考えてもお前だろ」

という、彼ららしい…イーニシュフェルトの教員達らしい…会話を、していたけれど。

彼らには、申し訳ないけれど。

無邪気に新しい教師の赴任を喜んでいる、他の生徒達にも申し訳ないけれど。

気を遣わせて、大変申し訳ないけれど。

僕は、素直に天音さんがやって来たことを、喜べなかった。

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