神殺しのクロノスタシスⅢ
結果。
「…そこそこ出来るじゃん」
「ほ、本当?本当に出来てた?」
ぱっ、と明るくなるツキナ。
良かったね。
「さっき俺と戦ったときの、三倍以上は火力出てたよ」
「!でしょ?でしょ?私だって出来るんだよっ」
「それなのに、何で俺相手だとガスバーナーになるんだろうねー」
「ふぇぇぇぇぇんすぐり君が虐めるよぉぉぉ」
虐めてるとは、人聞き悪いなー。
俺はあくまで、事実を言ったまでであって。
「魔導人形相手だったら出来るのに、何故対人だと駄目なのか…」
考えられる理由は、一つ。
「…そんなに怖い?人を傷つけるの」
「…うん…」
命のない相手になら、容赦なく全力で魔法を打ち込める。
しかし、命のある相手…人間相手…だと、怯えて、火力が出せない。
相手を傷つけちゃうかも、殺しちゃうかも、という恐怖の心理が働いてる。
俺相手に、あんなにポンコツな魔法しか使えなかったのは、そのせいだ。
俺には分かんないなー。
「いっそ相手のこと、動く魔導人形だと思えば良いのに」
「そ、そんなの無理だよ!動いて、喋ってるんだよ?人形と一緒には出来ないよ」
「へー」
何て言うか…甘いね。
君、魔導師には向いてないんじゃないかな。
不思議な感覚だな。
俺には、そういうの分からなかった。
だって俺、人形相手に魔法使ったことなんかないもんね。
人生で初めて魔法を使った相手は、人間だった。
人生で初めて魔法で殺したのも、人間だった。
だから、自分の魔法で人を傷つけるのが怖いっていう、その感覚が分からない。
何で?
殺したとしても、死ぬのは他人であって、自分じゃないんだから。
どうでも良くない?
他人の痛みを、自分と重ねてしまう。
暗殺者には、全く向かないタチだね。
…それにしても。
「…それを差し置いても、ツキナって」
「ふぇ?」
「やっぱり弱くない?」
「えぇぇぇぇ!何でそんな酷いこと言うの~!」
いや、だって…。
実技授業で、他の生徒が魔法使うところ見てたけど。
それに比べたら、ツキナの魔法はどれも、足元にも…。
…まぁ、足元くらいは及ぶかもしれないけどさ。
同級生に比べたら、平均値全部下だよ。
「もしかして、成績劣等生…?」
「そんなことないもん!」
「でも、さっき見せてもらった魔法、どれも平均以下…」
「がーんっ!」
「ぶっちゃけ、ツキナ、何でイーニシュフェルトに入れたの?」
「がーんっ!!」
ここ、ルーデュニア最高峰の魔導師養成校なんでしょ?
魔導適性のない『八千代』がいるのもおかしいが、基本的な魔法、全て平均以下の生徒がいるのもおかしい。
それとも、ルーデュニア最高峰と言っても、所詮この程度ってことか?
「…」
「ん?」
ツキナは、ぶるぶる震えていた。
…何?この痙攣。
「さ…」
「さ?」
「さっきから聞いてたら、私がへなちょこみたいに言って!」
…怒った。
ちょっとびっくりした。
「へなちょこみたいって…。実際へなちょこみたいなもんだしー…」
「言ったね?言ったね?よーし見てなさいよ!」
うん?
「私はねー、元々炎魔法とかは上手じゃないの!」
「あー…。うん、それはさっき見たから、知ってる…」
「でも、他に得意な魔法があるのだ!」
…そうなの?
「他に得意な魔法…?」
「そうだよ!見てて!目ん玉かっぽじってよく見てやがれー!」
目玉ほじったら見えないだろ、と思ったが。
ツキナは、先程の魔導人形に向かって、
珍しい、魔法を使ってみせた。
「…そこそこ出来るじゃん」
「ほ、本当?本当に出来てた?」
ぱっ、と明るくなるツキナ。
良かったね。
「さっき俺と戦ったときの、三倍以上は火力出てたよ」
「!でしょ?でしょ?私だって出来るんだよっ」
「それなのに、何で俺相手だとガスバーナーになるんだろうねー」
「ふぇぇぇぇぇんすぐり君が虐めるよぉぉぉ」
虐めてるとは、人聞き悪いなー。
俺はあくまで、事実を言ったまでであって。
「魔導人形相手だったら出来るのに、何故対人だと駄目なのか…」
考えられる理由は、一つ。
「…そんなに怖い?人を傷つけるの」
「…うん…」
命のない相手になら、容赦なく全力で魔法を打ち込める。
しかし、命のある相手…人間相手…だと、怯えて、火力が出せない。
相手を傷つけちゃうかも、殺しちゃうかも、という恐怖の心理が働いてる。
俺相手に、あんなにポンコツな魔法しか使えなかったのは、そのせいだ。
俺には分かんないなー。
「いっそ相手のこと、動く魔導人形だと思えば良いのに」
「そ、そんなの無理だよ!動いて、喋ってるんだよ?人形と一緒には出来ないよ」
「へー」
何て言うか…甘いね。
君、魔導師には向いてないんじゃないかな。
不思議な感覚だな。
俺には、そういうの分からなかった。
だって俺、人形相手に魔法使ったことなんかないもんね。
人生で初めて魔法を使った相手は、人間だった。
人生で初めて魔法で殺したのも、人間だった。
だから、自分の魔法で人を傷つけるのが怖いっていう、その感覚が分からない。
何で?
殺したとしても、死ぬのは他人であって、自分じゃないんだから。
どうでも良くない?
他人の痛みを、自分と重ねてしまう。
暗殺者には、全く向かないタチだね。
…それにしても。
「…それを差し置いても、ツキナって」
「ふぇ?」
「やっぱり弱くない?」
「えぇぇぇぇ!何でそんな酷いこと言うの~!」
いや、だって…。
実技授業で、他の生徒が魔法使うところ見てたけど。
それに比べたら、ツキナの魔法はどれも、足元にも…。
…まぁ、足元くらいは及ぶかもしれないけどさ。
同級生に比べたら、平均値全部下だよ。
「もしかして、成績劣等生…?」
「そんなことないもん!」
「でも、さっき見せてもらった魔法、どれも平均以下…」
「がーんっ!」
「ぶっちゃけ、ツキナ、何でイーニシュフェルトに入れたの?」
「がーんっ!!」
ここ、ルーデュニア最高峰の魔導師養成校なんでしょ?
魔導適性のない『八千代』がいるのもおかしいが、基本的な魔法、全て平均以下の生徒がいるのもおかしい。
それとも、ルーデュニア最高峰と言っても、所詮この程度ってことか?
「…」
「ん?」
ツキナは、ぶるぶる震えていた。
…何?この痙攣。
「さ…」
「さ?」
「さっきから聞いてたら、私がへなちょこみたいに言って!」
…怒った。
ちょっとびっくりした。
「へなちょこみたいって…。実際へなちょこみたいなもんだしー…」
「言ったね?言ったね?よーし見てなさいよ!」
うん?
「私はねー、元々炎魔法とかは上手じゃないの!」
「あー…。うん、それはさっき見たから、知ってる…」
「でも、他に得意な魔法があるのだ!」
…そうなの?
「他に得意な魔法…?」
「そうだよ!見てて!目ん玉かっぽじってよく見てやがれー!」
目玉ほじったら見えないだろ、と思ったが。
ツキナは、先程の魔導人形に向かって、
珍しい、魔法を使ってみせた。