神殺しのクロノスタシスⅢ
卑怯な魔法って何?

卑怯な勝ち方って何?

勝ちは勝ちだし、勝てば生き残れるだろう?

正しく清く勝とうとして、それで負けるのが一番みっともないだろう。

死んだら、終わりなんだから。

そう。

…死んだら、終わりなんだよな。

その先には、何もない。

「…目に見える形で戦えば、卑怯にはならないんだよね?」

「え?」

「つまり、耳に聞こえる形で音魔法を使えば、卑怯にはならないってこと?」

「…どういう意味?」

「だからさ、ツキナ…」

俺が、その方法を教えてあげると。

ツキナは、またしても青天の霹靂みたいな顔になった。

「そっか…!それなら、使えるかも…!」

「だろ?今度の実戦訓練で、試してみなよ」

「うん!ありがとうすぐり君!」

無邪気な笑顔。

近寄るな、関わるなと言いながら。

結局俺は、自分からツキナを突き放すことが出来ないでいた。

それどころか、助言なんて…。

俺は、どうかしている。

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