神殺しのクロノスタシスⅢ
読心魔法を…過信した?

俺達が。

そして…ナジュが?

「種明かししてあげよっか。と言っても…君はもう分かってると思うけど」

「…」

ナジュは、険しい顔をして黙り込んでいた。

…一体、どういうことだ?

「強いて言うなら…俺はずっと、心に仮面を被ってた」

心に…仮面だと?

「前にも言ったでしょ?読心魔法は厄介だけど、でも完璧ではない。だから対策してた。君に会うときはいつもそうしてたよ。まずは君の視線から外れる。どうしても視界に入らなきゃならないときは、常時心に仮面を被る」

「…そんなことが…」

「出来るよ。死ぬほど苦労したけどね」

当たり前だろう。

いつ心を読まれても良いように、自分の本心を隠し、自分で自分を騙すような真似をするなんて。

しかも、こんな…年端も行かない子供が。

一体どれほどの努力と訓練を重ねれば、そんなことが。

「『八千代』が読心魔法にまんまとしてやられたと聞いたときから、ずっと読心魔法対策はしてた。心に仮面を被れば良い。ましてや君は、自分の読心魔法に絶対的な自信を持ってた。それを…慢心って言うんだよね」

すぐりの笑みは、どす黒かった。

…俺達は気づけなかった。

誰も気づけなかった。

すぐりの笑顔の下が、真っ黒に染まっていたことに。

「さぁ…ようやく、時は満ちた」








「俺はお前達とは違う。ちゃんと…任務を果たしてみせるよ」

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