神殺しのクロノスタシスⅢ
「ツキナ、前にさー」

「うん」

「俺に、自分の心に素直になれって言ったじゃん?覚えてる?」

忘れられてたら、涙モノだな。

『八千代』でも誰でも良いから、慰めてもらいたい。

しかし。

「うん!覚えてるよ」

…そうか。

どうもありがと。

「じゃあ、素直に言うから。聞いてね」

「うん!何?」

「俺、ツキナのこと好きだからさ。明日からも一緒にいたい」

「…!」

「放課後にさー、こうやって一緒に過ごすの。何でも良いよ。掃除でも草むしりでも。何でも良いからさ…。一緒にいられたら良いって思うんだけど…。ツキナも俺のこと、好きになってくれない?」

…今、この瞬間の顔を。

『八千代』に見られたら、もう、『八千代』の記憶がなくなるまで殴る。

絶対殴る。

それくらい、みっともない顔をしている自覚がある。

体感温度が、いつもより三度は上がってる気がする。

…ばっかじゃないの、俺。

でも、他にどう言って良いのか分からな、

「…うん!良いよ!」

「…えっ…」

物凄くあっさり受け入れられて、ちょっとびっくりした。

いくら無邪気なツキナでも、もう少し葛藤というものを…。

「丁度良かった!すぐり君、私と草むしりしてくれるんだね!」

…は?

「え、ちょ…。ツキナ?はい?」

「私ね、入学してすぐに園芸部を作ったの!植物が好きだから!そしたら学院長先生、すぐに許可してくれたんだけど、でも部員が私一人しかいなくて、寂しいな~と思ってたの。すぐり君が入ってくれるなら、百人力だよ!」

「…!?」

…お、俺の。

一世一代の大告白が。

何故か、部活動勧誘と化している。
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