神殺しのクロノスタシスⅢ
翌日の、放課後。
僕は、すぐりさんのいる園芸部を訪ねた。
「こんにちは。畑の様子はどうですか?」
「あっ、ナジュ先生!」
両手にゴム手袋をつけ、土いじりしていた女子生徒。
ツキナ・クロストレイが、パッと顔を上げた。
何を隠そう、すぐりさんの思い人である。
まるで太陽のような笑顔。
成程、確かに可愛らしい。
まぁ、リリスの足元にも及ばないがな。
僕あれだから。年上が好みなタイプだから。
年下は、アウトオブ眼中なんで。
それはともかく。
「畑は順調です!すくすく育ってます!」
それは何より。
「何育ててるんですか?」
「きゅうりです!」
前世河童かな。
「へぇ。良いですね」
「はい!実ったら、すぐり君と食べるんです!えへへ」
嬉しそう。
そしてこの子、
口に出して言ってる言葉と、心の中で思ってることが、完全に一致している。
そういう人は珍しい。
良いね、裏表なくて。
大抵の人は、お世辞や、当たり障りのない言葉を口にしながら。
腹の中では、「この野郎口くせーんだよ喋んな」とか思ってるものなんだけど。
それが知れただけでも、充分収穫だな。
「あっ、すぐり君待って!そこは日陰になっちゃうから駄目だよ」
「え、駄目なの?」
「きゅうりは太陽いーっぱい浴びて育つから、日陰に植えちゃ駄目なの。日に当たるところに植えてね」
「りょーかい」
ツキナさんと話してるときの、あのすぐりさんの楽しそうな顔。
年相応で何より。
昨日、悪どい顔をして、悪どい「対価」を求めてきた人間と、同一人物とは思えない。
まぁ、僕にとっては割とお安い御用だから、良いんだけど…。
「…ツキナさんって」
「はい!何ですかナジュ先生」
「すぐりさんのこと、好きなんですか?」
「はい!好きですよ?」
「…へー…」
すぐりさんには、悪いけども。
自分の好きな相手のことは、その一挙一動が気になって気になって仕方ないが。
他人の色恋沙汰ほど、どうでも良いものもなかなかないな、と思った。
今日、この頃である。
僕は、すぐりさんのいる園芸部を訪ねた。
「こんにちは。畑の様子はどうですか?」
「あっ、ナジュ先生!」
両手にゴム手袋をつけ、土いじりしていた女子生徒。
ツキナ・クロストレイが、パッと顔を上げた。
何を隠そう、すぐりさんの思い人である。
まるで太陽のような笑顔。
成程、確かに可愛らしい。
まぁ、リリスの足元にも及ばないがな。
僕あれだから。年上が好みなタイプだから。
年下は、アウトオブ眼中なんで。
それはともかく。
「畑は順調です!すくすく育ってます!」
それは何より。
「何育ててるんですか?」
「きゅうりです!」
前世河童かな。
「へぇ。良いですね」
「はい!実ったら、すぐり君と食べるんです!えへへ」
嬉しそう。
そしてこの子、
口に出して言ってる言葉と、心の中で思ってることが、完全に一致している。
そういう人は珍しい。
良いね、裏表なくて。
大抵の人は、お世辞や、当たり障りのない言葉を口にしながら。
腹の中では、「この野郎口くせーんだよ喋んな」とか思ってるものなんだけど。
それが知れただけでも、充分収穫だな。
「あっ、すぐり君待って!そこは日陰になっちゃうから駄目だよ」
「え、駄目なの?」
「きゅうりは太陽いーっぱい浴びて育つから、日陰に植えちゃ駄目なの。日に当たるところに植えてね」
「りょーかい」
ツキナさんと話してるときの、あのすぐりさんの楽しそうな顔。
年相応で何より。
昨日、悪どい顔をして、悪どい「対価」を求めてきた人間と、同一人物とは思えない。
まぁ、僕にとっては割とお安い御用だから、良いんだけど…。
「…ツキナさんって」
「はい!何ですかナジュ先生」
「すぐりさんのこと、好きなんですか?」
「はい!好きですよ?」
「…へー…」
すぐりさんには、悪いけども。
自分の好きな相手のことは、その一挙一動が気になって気になって仕方ないが。
他人の色恋沙汰ほど、どうでも良いものもなかなかないな、と思った。
今日、この頃である。