神殺しのクロノスタシスⅢ
…リリス。
ナジュの中にいることは知っていたが。
こうして表に出てくるところは、初めて見た。
いや、それよりも。
「ナジュ君があんな風になったのは…私達のせい?」
「…」
リリスの目は、相変わらず俺達を睨んでいた。
あの錯乱したナジュは…毒でも何でもなく…。
「やっぱり…読心魔法のせいなんだ」
「すぐり君…?」
すぐりが、険しい顔で言った。
「…そうよ」
リリスも頷く。
読心魔法のせいだって?
一体どうなってる?
確かに読心魔法はナジュの得意魔法だが、それとこれと、何の関係が。
「リリスちゃん…ナジュ君に、何が」
「何が、ですって?」
シルナの問いに、リリスは睨みつけながら返した。
「そんなこと、あなた達もよく知ってるでしょう?ナジュ君のこと…役立たず呼ばわりしたあなた達が」
…は?
「今まで散々ナジュ君の読心魔法に頼っておいて、ナジュ君を肉の壁にしておいて、一度上手く心を読めなかったからって、肝心なとき役に立たないですって?」
いや、ちょっと待って。
何のことだ?
「俺達がいつ、ナジュを役立たず呼ばわりしたよ?」
「白々しいこと言わないで!」
そんな、キレられても。
本当に、覚えが…。
「ナジュせんせーさぁ、俺が心に仮面を被って、読心魔法を阻止したことを気にしてたんだ」
すぐりが、ポツリとそう呟いた。
…何?
「ナジュせんせーがちゃんと心を読めなかったばかりに、『玉響』を殺させてしまったって…。俺が慢心してるって言ったことも気にしてた」
「…」
「俺が、ナジュせんせーの読心魔法の弱点を明らかにしちゃった。それはまぁ…あのときは敵同士だったから…仕方ないと言えば、仕方ないんだけど」
「…」
「それで君達、思ったんでしょ?心の中で。弱点のあるナジュせんせーのこと、役に立たない奴だって」
…何?
「そんなこと、思ってる訳…」
「自覚はしてないんでしょ?聞いたよ。無意識に、心の中で一瞬だけ。『こいつがちゃんと心を読んでたら、こんなことにはならなかったのに』って」
「…それは」
意識して、そんなこと考えたことはなかった。
でも、無意識だったら?
俺達が意識していようとなかろうと、ナジュは俺達の心の隅々まで見通せる。
じゃあ、もしかしてあのとき。
『玉響』を、みすみす殺させてしまったあのとき。
俺達は無意識に、ナジュの読心魔法の欠点をあげつらって。
役に立たない奴だ、と…無意識でも、一瞬でも、心の何処かで、そう思ったってことなのか?
そんなつもりは…全くなかったのに。
ナジュの中にいることは知っていたが。
こうして表に出てくるところは、初めて見た。
いや、それよりも。
「ナジュ君があんな風になったのは…私達のせい?」
「…」
リリスの目は、相変わらず俺達を睨んでいた。
あの錯乱したナジュは…毒でも何でもなく…。
「やっぱり…読心魔法のせいなんだ」
「すぐり君…?」
すぐりが、険しい顔で言った。
「…そうよ」
リリスも頷く。
読心魔法のせいだって?
一体どうなってる?
確かに読心魔法はナジュの得意魔法だが、それとこれと、何の関係が。
「リリスちゃん…ナジュ君に、何が」
「何が、ですって?」
シルナの問いに、リリスは睨みつけながら返した。
「そんなこと、あなた達もよく知ってるでしょう?ナジュ君のこと…役立たず呼ばわりしたあなた達が」
…は?
「今まで散々ナジュ君の読心魔法に頼っておいて、ナジュ君を肉の壁にしておいて、一度上手く心を読めなかったからって、肝心なとき役に立たないですって?」
いや、ちょっと待って。
何のことだ?
「俺達がいつ、ナジュを役立たず呼ばわりしたよ?」
「白々しいこと言わないで!」
そんな、キレられても。
本当に、覚えが…。
「ナジュせんせーさぁ、俺が心に仮面を被って、読心魔法を阻止したことを気にしてたんだ」
すぐりが、ポツリとそう呟いた。
…何?
「ナジュせんせーがちゃんと心を読めなかったばかりに、『玉響』を殺させてしまったって…。俺が慢心してるって言ったことも気にしてた」
「…」
「俺が、ナジュせんせーの読心魔法の弱点を明らかにしちゃった。それはまぁ…あのときは敵同士だったから…仕方ないと言えば、仕方ないんだけど」
「…」
「それで君達、思ったんでしょ?心の中で。弱点のあるナジュせんせーのこと、役に立たない奴だって」
…何?
「そんなこと、思ってる訳…」
「自覚はしてないんでしょ?聞いたよ。無意識に、心の中で一瞬だけ。『こいつがちゃんと心を読んでたら、こんなことにはならなかったのに』って」
「…それは」
意識して、そんなこと考えたことはなかった。
でも、無意識だったら?
俺達が意識していようとなかろうと、ナジュは俺達の心の隅々まで見通せる。
じゃあ、もしかしてあのとき。
『玉響』を、みすみす殺させてしまったあのとき。
俺達は無意識に、ナジュの読心魔法の欠点をあげつらって。
役に立たない奴だ、と…無意識でも、一瞬でも、心の何処かで、そう思ったってことなのか?
そんなつもりは…全くなかったのに。