神殺しのクロノスタシスⅢ
…結局、シュニィが魔法で割って入り。

明るいところに連れていき、この人は学院長先生で、ただ学院から送ってもらっただけだ、と。

ほぼ力ずくで説明すると。

アトラスはしばしポカンとして。

そして、ようやく、自分が大剣持って追い掛け回していたのが、かつての自分の恩師だと気づいたらしく。
 
「…学院長!学院長先生じゃないか。どうしたんだこんな時間に?」

何事もなかったかのように、けろっとしてそう聞いたらしい。

脳筋も、ここまで来ると重症だ。

シルナ、追い掛けられ損。

ちなみにその間、散々駆け回ったにも関わらず、アイナもレグルスも、構わずすやすや寝ていたそうだ。

将来大物になるよ、あの夫婦の子供達は。
 
…それはともかく。

俺、行かなくて良かった〜…。

マジで。切実にそう思ってる。

危うく、俺が追い掛け回されるところだった。

俺はシルナみたいに、逃げ足速くないからな。

気の毒なシルナは、ただシュニィを家まで送り、アトラスに感謝の言葉を伝えようとしただけなのに。

危うく、教え子に命を奪われかけて、半泣きだった。

まぁ、あれだ。

「…良かったな、生きてて」

「うぅ…。死ぬかと思った…」

同情するよ、本当に。

「で、そんなシルナのことはどうでも良いとして」

「どうでも良いって何!?私の安否も心配してよ!」

「クュルナ、考えてきた手って?」

「…え?あ、はい…説明しますね」

「酷い!シルナを!誰かシルナを顧みて!」

放っとけ放っとけ。

世の中にはな、優先順位ってものがあるんだよ。

「僕が顧みてあげるよ」

「令月く〜ん…。君はなんて優しい良い子なんだ…」

令月が相手してくれるらしい。良かったな。

じゃ、その間に本題に入ろう。

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