神殺しのクロノスタシスⅢ
「学院長…」

「心配しなくて良い。敵が何人来ようが、絶対守りきってみせる。君は大船に乗ったつもりで、学生生活を謳歌すれば良いんだよ」

…その通り。

たまには、まともなこと言うじゃないか。

「…羽久が私に失礼なことを考えてる気がする…」

「被害妄想だ」

そんなことより、令月を安心させてやれ。

「私達に任せなさい。約束も忘れないで」

約束。

一人で背負わないこと。

忘れたとは言わせないぞ。

「絶対に大丈夫だから。安心して。良いね?」

「…うん」

「宜しい」

シルナが、絶対大丈夫だと太鼓判を押すのだ。

なら、それを信じれば良い。

「さぁ、もう夜も遅いよ。早く学生寮に帰りなさい。ユイト君が心配するよ」

「でも…」

「明日の宿題しなきゃ。でしょ?」

「…うん」

「じゃあ戻ろう。天音君、令月君を学生寮まで送っていってくれる?下校時刻過ぎてるし」

「分かりました。…さ、行こう」

天音に誘われて、令月はこくりと頷き。

二人は、学院長室を出た。

…これで、少しでも令月の不安が解ければ良いのだが…。

「…大丈夫」

「…シルナ?」

シルナは、強く意思表明した。

「絶対守ろう。令月君も、生徒達も、イーニシュフェルト魔導学院も。私達が守ろう。絶対に」

シルナの目は、真剣そのものだった。

…馬鹿だな。今更。

「…言われずとも」

「学院の秩序を乱す者は、何人たりとも許しはしません」

「ま、いざとなったら最終兵器の僕が盾になるんで、どんと構えておいてください」

「…ナジュ君が盾になる作戦はやめようよ」

「え、そうですか?」

お前な。

自分が不死身だからって、余裕過ぎだろ。

…とにかく、シルナの言う通りだ。

「絶対守る。もう二度と…令月を泣かせてたまるか」

俺はあいつに、平穏な生活を送らせると誓ったのだ。

その誓いは、今も破られていない。

だから。

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