神殺しのクロノスタシスⅢ
この『殺戮の堕天使』ルーチェス・ナジュ・アンブローシアの帰還に、仲間達はどういう反応をするのかなと。

思っていたら。

「えっ!ナジュ君記憶戻ったって本当!?良かったぁぁぁぁやっぱり紅茶療法が効いたんだね!!」

涙と鼻水垂らしてしがみついてくる、シルナ学院長。

これは予想通り。

あと、僕が目覚めたのも記憶を取り戻したのも、紅茶は一切関係ない。

多分何の効果もない。

「そうですか、戻りましたか…。折角、授業に真面目に取り組む新教師に仕立て上げようと思ってたのに…」

嬉しい反面、何故かちょっと残念そうなイレースさん。

これも予想通り。

良かった、僕記憶取り戻して。

危うく、元ラミッドフルスの鬼教官その2にされるところだった。

危ない危ない。

授業に真面目に取り組む僕なんて、僕の授業じゃない。

「え、記憶戻ったの?死ぬほど苦い薬を飲まされば、ショック療法で記憶も戻るかと思って、調合したばっかりだったのに…」

謎の濃い緑色の液体が入った小瓶を片手に、これまたちょっと残念そうな令月さん。

皆、やること過激過ぎない?
 
良かった。あの薬を飲まされる前に記憶戻って。  

しかし、令月さんはその小瓶を、僕に押し付けてきた。

「まぁ、でも折角作ったから飲んで。長寿に効くよ」
 
「…不老不死ですけどね、僕…」
 
どうするの、これ。

捨てるか?捨てて良いのか?

いや、何でも捨てるのは勿体ない。

こっそり隠しておいて、今度、学院長のお茶にでも混ぜるか。

次に。

「な〜んだ、意外とあっさり戻っちゃったんだ。まぁ良かったんじゃない?」

けろっとして言うすぐりさん。

これもまぁ、予想通りだな。

「何だかんだ、こうなったのは俺のせいだった訳だし。戻ってくれて安心したよ」

「あなたは悪くないですけどね」

僕が、勝手に読心魔法暴走させちゃっただけで。

まぁ、元を正せば、あなたが僕の読心魔法の欠点をあげつらったから、こうなったんだが。

結局僕の自業自得だし、ノーカン。

そして。

「そうか、記憶が戻ったか…」

ホッとしたように言う羽久さん。

こちらも予想通り、

「…じゃ、とりあえず歯を食いしばれ」

かと思ったら、全然予想通りじゃなかった。

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