神殺しのクロノスタシスⅢ
そして、もう一人の生徒が誰かと言うと。
「…お邪魔しますね」
学生寮の、とある一室をノックし。
その扉を開けると。
「…!ナジュ…先生」
「お久し振りです」
ユイト・ランドルフ。
僕の、去年のルームメイトである。
彼にも、挨拶しておかなければならないと思ったもので。
放課後を狙って、訪ねてきた。
ちなみに、令月さんは気を利かせて退室してもらっている。
今頃学院長室で、学院長のお菓子のおこぼれに預かっていることだろう。
「どうして…わざわざ会いに…」
心外だなぁ。
僕、そこまで薄情だと思われてたか?
まぁ、去年君を裏切ったのは、他でもない僕ですからね。
「令月さんから聞きました。僕のこと、多少なりとも…心配してくれてたそうで」
「…」
「…あと、何となく事情を察しながら、他の生徒の皆さんには黙ってくれてたそうですね」
「それは…」
僕としても、非常に有り難い気遣いだった。
下手に変な噂を広められていたら、僕の帰る場所がなくなってるところだったから。
「ありがとうございます。お陰で助かりました」
「…そんなこと、どうでも良いです」
「…ですよね」
彼の、心を読めば分かる。
「心配…してたんですよ、ずっと…。あなたは…いつも、誰にも言わずに背負い込むから…」
「そうですね。そこのところ、羽久さんにも怒られました」
何なら腹パン食らいました。
痛かったです。はい。
「でも…無事に帰ってきてくれて、良かった」
「はい」
「…もう勝手に、一人で、何処にも行かないでください」
「…はい」
ユイト・ランドルフの心を読んで分かった。
僕は僕が思ってる以上に、他の人から大事に思われている。
『殺戮の堕天使』の癖に。本当済みませんね。
僕はきっと、これからはもっと…、
「…ちゃんと自分のこと、大事にしてください」
「…分かりました」
…言おうと思ってたこと、先に言われてしまった。
ちょっと悔しかった。
でも。
自分に、絶対守りたい大事な存在がいるように。
他の人にも、絶対守りたい大事な存在がいて。
そんな存在に、他でもない自分がなれるということは。
これほどに光栄なことなのだと、僕は初めて知った。
…これほどに嬉しいことなのだと、初めて知った。
「…お邪魔しますね」
学生寮の、とある一室をノックし。
その扉を開けると。
「…!ナジュ…先生」
「お久し振りです」
ユイト・ランドルフ。
僕の、去年のルームメイトである。
彼にも、挨拶しておかなければならないと思ったもので。
放課後を狙って、訪ねてきた。
ちなみに、令月さんは気を利かせて退室してもらっている。
今頃学院長室で、学院長のお菓子のおこぼれに預かっていることだろう。
「どうして…わざわざ会いに…」
心外だなぁ。
僕、そこまで薄情だと思われてたか?
まぁ、去年君を裏切ったのは、他でもない僕ですからね。
「令月さんから聞きました。僕のこと、多少なりとも…心配してくれてたそうで」
「…」
「…あと、何となく事情を察しながら、他の生徒の皆さんには黙ってくれてたそうですね」
「それは…」
僕としても、非常に有り難い気遣いだった。
下手に変な噂を広められていたら、僕の帰る場所がなくなってるところだったから。
「ありがとうございます。お陰で助かりました」
「…そんなこと、どうでも良いです」
「…ですよね」
彼の、心を読めば分かる。
「心配…してたんですよ、ずっと…。あなたは…いつも、誰にも言わずに背負い込むから…」
「そうですね。そこのところ、羽久さんにも怒られました」
何なら腹パン食らいました。
痛かったです。はい。
「でも…無事に帰ってきてくれて、良かった」
「はい」
「…もう勝手に、一人で、何処にも行かないでください」
「…はい」
ユイト・ランドルフの心を読んで分かった。
僕は僕が思ってる以上に、他の人から大事に思われている。
『殺戮の堕天使』の癖に。本当済みませんね。
僕はきっと、これからはもっと…、
「…ちゃんと自分のこと、大事にしてください」
「…分かりました」
…言おうと思ってたこと、先に言われてしまった。
ちょっと悔しかった。
でも。
自分に、絶対守りたい大事な存在がいるように。
他の人にも、絶対守りたい大事な存在がいて。
そんな存在に、他でもない自分がなれるということは。
これほどに光栄なことなのだと、僕は初めて知った。
…これほどに嬉しいことなのだと、初めて知った。