神殺しのクロノスタシスⅢ
「あ、あそこの客、あのサーモン狙ってますね。取っちゃおーっと」
学院長先生。
読心魔法の悪用をしている男がいます。
「あの客はウナギを狙ってますね。じゃあ僕が頂きまーす」
最低。
他の客が目星をつけてるネタを、片っ端から掠め取ってる。
「お前は、そういうことをするから倒れたんだって分かってるか?快気祝いの原因を忘れたか」
「大丈夫。3〜4人くらいしか読んでないんで。余裕です」
そういう問題じゃねーんだよ。
「おいシルナ、この読心馬鹿をなんとか、」
「ふぉわぁぁぁ!凄い!回転寿司のスイーツラインナップが凄い!どれから頼もう!」
「…」
駄目だった。
このおっさん、メニュー表のスイーツ欄を凝視して、勝手にハッスルしてる。
こうなったら、我らが最終兵器イレースに…と思ったら。
「こういうのは、好きなネタが回ってくるのを待つより、さっさと注文した方が時間短縮になるんです」
イレースは、回転寿司の回転システムをガン無視し。
タッチパネルで、食べたいネタを次々注文していた。
いや、そうなんだけどさ。
分かるよ?食べたいネタに限ってレーンに乗ってなくて、「ないなぁ〜」ってなること、あるよな。
だから、仕方なくタッチパネルで注文して、店員さんに持ってきてもらうことって、あるよ?
あるけどさ。
せめて、今回ってるネタをよく見てから判断してやってくれよ。
まぁね、鮮度がね。気になる人もいるよな。
思ったことない?回転寿司来て。
「あのネタ、さっきからずっと回ってるな…。鮮度大丈夫か…?ホコリとかついてないのかな…」って。
大丈夫だから回ってるんだろうし、そこはお店側もちゃんと管理してくれてると分かってるが。
やっぱり、誰にも取られずに何周も回ってるネタより。
注文して、すぐに作ってくれた鮮度抜群のネタを食べたいよな。
いや、それどうせ全部冷凍モノだろ?と言われたらそれまでだが。
そうじゃないんだよ。
それを言ったら終わりだろ。
すると、令月があることに気づいた。
「ねぇ、羽久」
「何だよ」
「これ、お皿の色がネタによって違うのは何で?」
おぉ。
お前、良いところに気づいたな。
「それはですね、寿司ネタ達の格付けを示してるんですよ」
俺が答えようとしたら、ナジュがすかさず答えた。
他の客が狙っていた、ウナギを食べながら。
お前、他のお客さんに殴られてしまえ。
「格付け…?」
「人は生まれながらにランク付けされてるでしょう?こいつは上流の生まれ、こいつは下流の生まれ、ってね。あなたにも覚えがあるでしょう?」
「…うん」
…おい。
何の話してんの?
「寿司ネタ達にも、そんな世知辛い世の中の事情があるんです。ほら、あの金皿に乗っている大トロ。あれは生まれながらの勝ち組。そして、あちらの白皿に乗ってる玉子。あれは生まれながらの負け組。そこには越えられない壁があるんです」
お前は今、全国の玉子が好きな大勢の人々を敵に回した。
タコ殴りにされても許される悪行。
玉子好きな人だっているんだぞ。なぁ?
刺し身が苦手でも、玉子なら食べられる、って人もいるだろうし。
ちびっ子達は特に、わさび入りの刺し身ネタより、玉子の方が美味しい、って子は多いだろうに。
「つまり、皿の色によって値段が違うってこと?」
「そういうことです」
初めからそう言えよ。
何だったんだ、さっきまでの前振りは。
「ちなみにこのお店、金皿が一番お高いネタみたいなので、学院長の懐を攻撃するには、全力で金皿を食べまくると良いですよ」
「そうなんだ…。分かった、頑張ろう『八千歳』。目指せ20皿」
「あ、そう。『八千代』が20皿なら、俺は21皿を目指すよ」
張り合うな。
別に金皿にこだわらなくても、好きなの食べれば良いだろ。
「不死身先生は金皿食べないの?」
「あぁ、僕は他の客を苛立たせるのに忙しいので。お隣のテーブルのあの女性、あの真鯛狙ってますね。じゃあ僕が頂きまーす」
最低過ぎる。
こいつ、絶対回転寿司に連れてきちゃいけないタイプ。
ここはシルナに何とか、
「おい、シルナ…」
「何これ美味しい!回転寿司のケーキ凄い!なんてクオリティの高さ!こっちのクリームブリュレも最高!」
駄目だ。
頭の中、お砂糖でいっぱい。
こうなったらやはりイレースに、
「イレース、なんとか…」
「お、お待たせしましたっ…」
「はい、お疲れ様です」
イレースが同時に大量に注文した寿司ネタが、丁度届いたところだった。
10皿を以上テーブルに乗ってる。
店員さんも、同時に大量の注文が入って、急いで作ってくれたのだろう。
ぜーはーしながら持ってきてくれた。
…気の毒に。
「…」
イレースは、回転している寿司を完全に無視して、注文した寿司を黙々と食べ始めた。
…我が世界、って感じだな。
こんなところまで来て、変人共の面倒は見たくない、ってか?
お前は偉いよ。
俺もそう出来たら良かったんだけどなぁ。
学院長先生。
読心魔法の悪用をしている男がいます。
「あの客はウナギを狙ってますね。じゃあ僕が頂きまーす」
最低。
他の客が目星をつけてるネタを、片っ端から掠め取ってる。
「お前は、そういうことをするから倒れたんだって分かってるか?快気祝いの原因を忘れたか」
「大丈夫。3〜4人くらいしか読んでないんで。余裕です」
そういう問題じゃねーんだよ。
「おいシルナ、この読心馬鹿をなんとか、」
「ふぉわぁぁぁ!凄い!回転寿司のスイーツラインナップが凄い!どれから頼もう!」
「…」
駄目だった。
このおっさん、メニュー表のスイーツ欄を凝視して、勝手にハッスルしてる。
こうなったら、我らが最終兵器イレースに…と思ったら。
「こういうのは、好きなネタが回ってくるのを待つより、さっさと注文した方が時間短縮になるんです」
イレースは、回転寿司の回転システムをガン無視し。
タッチパネルで、食べたいネタを次々注文していた。
いや、そうなんだけどさ。
分かるよ?食べたいネタに限ってレーンに乗ってなくて、「ないなぁ〜」ってなること、あるよな。
だから、仕方なくタッチパネルで注文して、店員さんに持ってきてもらうことって、あるよ?
あるけどさ。
せめて、今回ってるネタをよく見てから判断してやってくれよ。
まぁね、鮮度がね。気になる人もいるよな。
思ったことない?回転寿司来て。
「あのネタ、さっきからずっと回ってるな…。鮮度大丈夫か…?ホコリとかついてないのかな…」って。
大丈夫だから回ってるんだろうし、そこはお店側もちゃんと管理してくれてると分かってるが。
やっぱり、誰にも取られずに何周も回ってるネタより。
注文して、すぐに作ってくれた鮮度抜群のネタを食べたいよな。
いや、それどうせ全部冷凍モノだろ?と言われたらそれまでだが。
そうじゃないんだよ。
それを言ったら終わりだろ。
すると、令月があることに気づいた。
「ねぇ、羽久」
「何だよ」
「これ、お皿の色がネタによって違うのは何で?」
おぉ。
お前、良いところに気づいたな。
「それはですね、寿司ネタ達の格付けを示してるんですよ」
俺が答えようとしたら、ナジュがすかさず答えた。
他の客が狙っていた、ウナギを食べながら。
お前、他のお客さんに殴られてしまえ。
「格付け…?」
「人は生まれながらにランク付けされてるでしょう?こいつは上流の生まれ、こいつは下流の生まれ、ってね。あなたにも覚えがあるでしょう?」
「…うん」
…おい。
何の話してんの?
「寿司ネタ達にも、そんな世知辛い世の中の事情があるんです。ほら、あの金皿に乗っている大トロ。あれは生まれながらの勝ち組。そして、あちらの白皿に乗ってる玉子。あれは生まれながらの負け組。そこには越えられない壁があるんです」
お前は今、全国の玉子が好きな大勢の人々を敵に回した。
タコ殴りにされても許される悪行。
玉子好きな人だっているんだぞ。なぁ?
刺し身が苦手でも、玉子なら食べられる、って人もいるだろうし。
ちびっ子達は特に、わさび入りの刺し身ネタより、玉子の方が美味しい、って子は多いだろうに。
「つまり、皿の色によって値段が違うってこと?」
「そういうことです」
初めからそう言えよ。
何だったんだ、さっきまでの前振りは。
「ちなみにこのお店、金皿が一番お高いネタみたいなので、学院長の懐を攻撃するには、全力で金皿を食べまくると良いですよ」
「そうなんだ…。分かった、頑張ろう『八千歳』。目指せ20皿」
「あ、そう。『八千代』が20皿なら、俺は21皿を目指すよ」
張り合うな。
別に金皿にこだわらなくても、好きなの食べれば良いだろ。
「不死身先生は金皿食べないの?」
「あぁ、僕は他の客を苛立たせるのに忙しいので。お隣のテーブルのあの女性、あの真鯛狙ってますね。じゃあ僕が頂きまーす」
最低過ぎる。
こいつ、絶対回転寿司に連れてきちゃいけないタイプ。
ここはシルナに何とか、
「おい、シルナ…」
「何これ美味しい!回転寿司のケーキ凄い!なんてクオリティの高さ!こっちのクリームブリュレも最高!」
駄目だ。
頭の中、お砂糖でいっぱい。
こうなったらやはりイレースに、
「イレース、なんとか…」
「お、お待たせしましたっ…」
「はい、お疲れ様です」
イレースが同時に大量に注文した寿司ネタが、丁度届いたところだった。
10皿を以上テーブルに乗ってる。
店員さんも、同時に大量の注文が入って、急いで作ってくれたのだろう。
ぜーはーしながら持ってきてくれた。
…気の毒に。
「…」
イレースは、回転している寿司を完全に無視して、注文した寿司を黙々と食べ始めた。
…我が世界、って感じだな。
こんなところまで来て、変人共の面倒は見たくない、ってか?
お前は偉いよ。
俺もそう出来たら良かったんだけどなぁ。