神殺しのクロノスタシスⅢ
「頭おかしいのか?砂糖で脳みそやられたか?」

「な、何でそんなこと言うの?」

「お前のダイエット宣言は、何処に消えたんだよ!」

「そ、それはっ…」

やめました、とか言うんじゃないだろうな?

別にやめても良いんだぞ。俺は困らないからな。

「私だって、私だってね?我慢しようと思ったんだよ。チョコタルト食べたかったけど、我慢しようって」

食ってるけどな。普通に。

「でもね、チョコタルトが…私を呼んでたんだ」

「…は?」

「チョコタルトが…『おーい、学院長〜。私を食べて〜。美味しいよ〜食べてよ〜』って、呼んでたの。あんなに可愛く呼ばれたら、応えない訳にはいかないでしょ!?」

…などと、意味不明な供述をしており。

「紅茶もね!せめて紅茶はね、お砂糖なしにしようかな〜と思って、最初はストレートで飲んだの」

ほう。

一応、ダイエットする気はあったらしいな。

タルトに手を付けてる時点で、既にダイエットも糞もあったもんじゃないが。

「でもストレートで飲んだら、渋いのなんのって。あんなの飲める人この世にいるの?」

お前は今、全国のストレートティー愛好家を敵に回した。

ストレートティー美味いだろ。

「しょうがないから一杯だけ、と思ってお砂糖入れたの」

まぁ、大体普通の人はそれくらいだよな。

角砂糖一個分。

「でもそれでも渋くて渋くて!」

「…」

「仕方な〜く、二杯にしてみたら、それでもやっぱり渋くて!」

「…」

「三杯にしたら、いつもの美味しい紅茶になったから、あ〜良かった〜って」

「…」

「…羽久?どうしたの?」

…イレースが。

いつもいつも、杖に雷が迸らせながら、シルナに迫る気持ちがよく分かった。

そうだな、イレース。

この馬鹿、もう電気ショックで分からせるしかねぇよ。

でも俺、お前ほど雷魔法上手くないからさ。

仕方ないよな。

「…歯を食いしばれシルナ・エインリー!!」

「えぇぇぇ!!ちょ、ちょっと待ってよ!拳握り締めてどうしたの!?やめて!暴力は良くない!暴力はんたーい!!」

「貴様が手を出して良いと言ったんだろうが!これは合法だ!」

「非合法!非合法だよ!やめて痛いの嫌ぁぁぁぁ」

この、意志の薄弱さ。

最早、鉄拳制裁でしか直すことは出来ないと、俺は判断した。
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