神殺しのクロノスタシスⅢ
ダイエットを始めて、丁度10日ほどたった頃。

「…」

この頃のシルナは、大人しかった。

ダイエットを始めたばかりのときのように、「食べたい食べたい」言わなくなったし。

魔導書を読みながら、延々と菓子の名前をお経のように呟くこともなくなった。

静か。

お菓子を食べないという状況に、段々慣れてきたのだろう。

すると。

「…ねぇ、羽久」

「どうした?」

ここ数日のシルナは、大人しかった。

妙に、不気味なくらいに。

でも静かだから良いと思って、俺は何も言わなかった。

故に、気づかなかった。

「私…何の為に生まれてきたんだろう?」

シルナの精神が、異常をきたし始めていたことに。
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