神殺しのクロノスタシスⅢ
その後俺は、魔導部隊隊舎を回って。

クュルナ、吐月、無闇の三人と会って、少し話をした。

何ということもない、取り留めもない挨拶みたいなものだ。

「よー最近元気にやってる?」程度。

エリュティア、ジュリス、ベリクリーデの三人は、残念ながら現在、任務の為不在だそうだ。

キュレムとルイーシュはどうしたかって?

本当は、今朝から二人で任務だったらしいんだけど。

ルイーシュがサボりをかまして、どっかに逃走したらしく。

キュレムは、サボりルイーシュを探してあちこち探し回ってるのだとか。

あいつ、もうクビにしろよ。

ってか普通の会社なら一発でクビにされるところだが。

「それもルイーシュさんの個性です」との、シュニィの広い懐によって、未だに聖魔騎士団魔導部隊に所属している。

まぁ、あいつの使う魔法と、その精度を考えれば。

多少のサボり癖があっても、手放すには惜しいよな。あまりにも。

だからってサボるなよ。

お互い相方には苦労してんなぁ、キュレム。

あいつとは良い酒が飲めそうだ。

で、挨拶も終わったので。

そろそろ訓練場に戻ろう、と。

隊舎を歩いていた、そのとき。

正面から歩いてきた、深いフードを被った一人の魔導師とすれ違った。

瞬間。

「…随分と楽しそうだな、羽久・グラスフィア」

「!!」

俺は、反射的に杖に手を伸ばした。

その声は。

「お前…!」

忘れもしない、元『カタストロフィ』のリーダー。

ヴァルシーナ・クルスであった。

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