神殺しのクロノスタシスⅢ
どうだ、おっさん。

思い知ったか。

人の意志。思いの強さというものを。

洗脳や恐怖心では、決して抑えられないものが、俺達にはあるのだ。

しかし。

「…下らぬ」

悲しいことに。

このおっさんには、どうしてもそれが理解出来なかった。

「黒月令月。貴様ならよもやと思ったが…。やはり、まだ子供だった。育成に失敗した」

育成、だと?

ゲームみたいに言いやがって。

「もう良い。予定通り…貴様ら全員、皆殺しだ」

何が皆殺し、だ。

「お前の予定通りにはさせねぇよ」

そう言った、瞬間。

鬼頭夜陰が、片手をスッと上げる

辺り一帯の茂みや木陰から、人影が飛んできた。

潜んでいた暗殺者達が、一気に奇襲を仕掛けてきたのだ。

…だが。

俺達は、誰一人動じなかった。

各々が各自、戦闘態勢に入った。

あれだけ動揺していたすぐりでさえ、場が緊迫した殺意に満ちたと感じるや、目に闘志を宿した。

その点は、さすが元暗殺者だ。

…掛かってくるなら、来い。

敵の罠に、自ら飛び込んだのだ。

突然の奇襲など、予測しているに決まっている。

「…eimt edvanca」

俺は、そう呟いて杖を振った。
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