神殺しのクロノスタシスⅢ
満身創痍になった、すぐりの身体を抱いて。

ナジュは、すぐりを天音に託した。

「天音さん。すぐりさんお願いします」

「分かった」

すぐりの身体はボロボロではあるが、毒を食らった訳ではない。

解毒するよりは、時間は掛からない。

とはいえ。

こちらは手負いの令月を加え、復活したナジュを加えても、それでもまだ敵の数の方が多い。

そこに。

「こっちは大丈夫。すぐりさんを治しながら守れるから、イレースさんは戦う方に加わって」

「…分かりました。では、頼みます」

治療組を守ることに徹していたイレースが、戦闘組に加わった。

それでも、やはりまだ向こうの数の方が多いだろう。

目に見えてる数が全てだとは、思わない方が良い。

狡猾な暗殺者集団のこと、後ろにまだ手駒を隠していてもおかしくない。

…が。

「…何人来ても、恐れるに足りないな」

人に言われて、命令されて戦ってるような意志の弱い奴らが。

何人集まろうと、俺達の敵ではない。

「だろ?シルナ」

「だね」

笑顔で答えるシルナ。

見てやがれよ、この野郎。

俺達イーニシュフェルト魔導学院の実力を、目をかっ開いて刮目すると良い。

そして思い知れ。

お前らと俺達の、決定的なまでの差というものを。
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