神殺しのクロノスタシスⅢ
で、何故ナジュがむーむーおばけにされたのか、その理由を説明しよう。
あの森の奥での戦い。
俺達が相手していたのは、鬼頭夜陰本人ではなく、あくまで鬼頭の影武者だったと知った。
結局奴の手のひらの上で踊らされたのかと思うと、腹立たしかったが。
とりあえず、『終日組』の暗殺者を少なからぬ人数始末し。
『アメノミコト』の戦力を、少しでも削いでやったことに満足することにした。
で、それで一件落着、さぁ学院に戻ろう、としたら。
いきなり、鬼頭の影武者がぶるぶる震え出し。
ピカッと光ったかと思うと、ナジュがその影武者の亡骸に覆い被さり。
空間魔法で、異空間に消えた。
これで、何が起きたか察しがつくかと思うが。
あの影武者は、死ぬと同時に周りを巻き込んで爆発するよう、体内に時限爆弾が仕込まれていたのだ。
いち早くそれを察したナジュが、身を挺して俺達を庇い、影武者爆弾ごと異空間に飛び、爆発。
戻ってきたナジュは、全身に爆弾の破片を浴びて、細切れどころかミンチ状態。
自称男前の面影どころか、人間だったことさえ分からない、ただの肉片になって帰ってきた。
まぁ、それでもこの人、不死身だから。
肉体を挽肉にされようが、時間が経てばもとに戻る。
その場で天音とシルナが、回復魔法でミンチになったナジュの身体を、とりあえず人型まで戻し。
意識を失ってぐったりとしたナジュを、抱えて学院に戻ってきた。
ちなみに、俺達が戦っている間、イーニシュフェルト魔導学院では。
どうやら『アメノミコト』は、俺達の留守中を狙って、学院に押し入り強盗するつもりはなかったらしく。
折角聖魔騎士団から部隊を派遣してもらったというのに、何事も起きず、無事に朝を迎えられた。
何事も起きなかったのは良いことだ。
まぁ、鬼頭本人ですら、影武者を送り込んで高みの見物だったからな。
学院の方にまで、手を回す気はなかったのだろう。
生徒の身に何事もなくて、本当に良かった。
学院で待っていたシュニィは、俺達の無事の帰還と、学院に襲撃がなかったことを喜んでくれたが。
何故か、ジュリスが疲れ果てたように、やれやれと溜息をついていた。
俺達がいない間、何かあったんだろうか。
それはともかく。
そんな経緯があって、俺達は夜明けと共に学院に戻り。
聖魔騎士団は、学院からひっそりと撤退した。
大袈裟に出ていったら、起きてきた生徒が「聖魔騎士団がいるなんて、一体何事だ?」と疑問に思うだろうから。
あくまで今回の件は、生徒には内緒にしていたかった。
だから俺達も、その後、何事もなかったかのように一日の授業を始めた。
体力と魔力の消費は、正直堪えたが。
ここは多少無理をしてでも、生徒に不審がられてはいけないと思ったからだ。
シルナの方も、散々分身を作りまくったせいで、「あ〜疲れたー疲れたよー」と、グチグチ文句言ってたが。
こんなこともあろうかと、イレースがシルナの餌付け用に用意していた、秘蔵のチョコレートをちらつかせると。
一瞬で元気になった。
さすがイレースである。
彼女も、少なからず傷を負っていたし、魔力も消費しているだろうに。
そんなことは少しも感じさせず、いつも通り毅然とした態度で、授業を行っていた。
尊敬するところしかない。
天音はと言うと、戦闘にはほとんど加わっていなかったが、その分回復魔法に徹し、彼も彼でかなりの魔力を消費しているはずだが。
天音は元々保有魔力量が多く。
本人も、疲れていたとしても「疲れたから休む」と口に出すタイプではないので。
僕は大丈夫だから、とさっさと医務室に戻り、いつもの職務に戻った。
それから、あの戦闘に参加した二人の生徒。
令月とすぐりだが。
あの二人は、怪我の具合が俺達より酷いので、しばらく天音のもとで療養することになった。
特にすぐりな。
令月の主だった病状は、主に貧血と魔力の消費だけなので、三日ほどで復帰。
すぐりはもう少し遅れて、五日で復帰。
そして最後に残ったのが、今ここで妖怪むーむーおばけと化している、自称男前教師、ナジュである。
一週間たって、ようやく動き回れるようになったこの愚か者を。
どう処分してやろうかと、俺はこの一週間ずっと考えていたが。
先にイレースが処罰を下してくれたので、俺はようやく、溜飲の下がる思いだった。
よくやった。イレース。
あの森の奥での戦い。
俺達が相手していたのは、鬼頭夜陰本人ではなく、あくまで鬼頭の影武者だったと知った。
結局奴の手のひらの上で踊らされたのかと思うと、腹立たしかったが。
とりあえず、『終日組』の暗殺者を少なからぬ人数始末し。
『アメノミコト』の戦力を、少しでも削いでやったことに満足することにした。
で、それで一件落着、さぁ学院に戻ろう、としたら。
いきなり、鬼頭の影武者がぶるぶる震え出し。
ピカッと光ったかと思うと、ナジュがその影武者の亡骸に覆い被さり。
空間魔法で、異空間に消えた。
これで、何が起きたか察しがつくかと思うが。
あの影武者は、死ぬと同時に周りを巻き込んで爆発するよう、体内に時限爆弾が仕込まれていたのだ。
いち早くそれを察したナジュが、身を挺して俺達を庇い、影武者爆弾ごと異空間に飛び、爆発。
戻ってきたナジュは、全身に爆弾の破片を浴びて、細切れどころかミンチ状態。
自称男前の面影どころか、人間だったことさえ分からない、ただの肉片になって帰ってきた。
まぁ、それでもこの人、不死身だから。
肉体を挽肉にされようが、時間が経てばもとに戻る。
その場で天音とシルナが、回復魔法でミンチになったナジュの身体を、とりあえず人型まで戻し。
意識を失ってぐったりとしたナジュを、抱えて学院に戻ってきた。
ちなみに、俺達が戦っている間、イーニシュフェルト魔導学院では。
どうやら『アメノミコト』は、俺達の留守中を狙って、学院に押し入り強盗するつもりはなかったらしく。
折角聖魔騎士団から部隊を派遣してもらったというのに、何事も起きず、無事に朝を迎えられた。
何事も起きなかったのは良いことだ。
まぁ、鬼頭本人ですら、影武者を送り込んで高みの見物だったからな。
学院の方にまで、手を回す気はなかったのだろう。
生徒の身に何事もなくて、本当に良かった。
学院で待っていたシュニィは、俺達の無事の帰還と、学院に襲撃がなかったことを喜んでくれたが。
何故か、ジュリスが疲れ果てたように、やれやれと溜息をついていた。
俺達がいない間、何かあったんだろうか。
それはともかく。
そんな経緯があって、俺達は夜明けと共に学院に戻り。
聖魔騎士団は、学院からひっそりと撤退した。
大袈裟に出ていったら、起きてきた生徒が「聖魔騎士団がいるなんて、一体何事だ?」と疑問に思うだろうから。
あくまで今回の件は、生徒には内緒にしていたかった。
だから俺達も、その後、何事もなかったかのように一日の授業を始めた。
体力と魔力の消費は、正直堪えたが。
ここは多少無理をしてでも、生徒に不審がられてはいけないと思ったからだ。
シルナの方も、散々分身を作りまくったせいで、「あ〜疲れたー疲れたよー」と、グチグチ文句言ってたが。
こんなこともあろうかと、イレースがシルナの餌付け用に用意していた、秘蔵のチョコレートをちらつかせると。
一瞬で元気になった。
さすがイレースである。
彼女も、少なからず傷を負っていたし、魔力も消費しているだろうに。
そんなことは少しも感じさせず、いつも通り毅然とした態度で、授業を行っていた。
尊敬するところしかない。
天音はと言うと、戦闘にはほとんど加わっていなかったが、その分回復魔法に徹し、彼も彼でかなりの魔力を消費しているはずだが。
天音は元々保有魔力量が多く。
本人も、疲れていたとしても「疲れたから休む」と口に出すタイプではないので。
僕は大丈夫だから、とさっさと医務室に戻り、いつもの職務に戻った。
それから、あの戦闘に参加した二人の生徒。
令月とすぐりだが。
あの二人は、怪我の具合が俺達より酷いので、しばらく天音のもとで療養することになった。
特にすぐりな。
令月の主だった病状は、主に貧血と魔力の消費だけなので、三日ほどで復帰。
すぐりはもう少し遅れて、五日で復帰。
そして最後に残ったのが、今ここで妖怪むーむーおばけと化している、自称男前教師、ナジュである。
一週間たって、ようやく動き回れるようになったこの愚か者を。
どう処分してやろうかと、俺はこの一週間ずっと考えていたが。
先にイレースが処罰を下してくれたので、俺はようやく、溜飲の下がる思いだった。
よくやった。イレース。