神殺しのクロノスタシスⅢ
そして。

「…あれ?すぐり君、トマトは?」

ギクリ。

「え?もうとっくに食べたよ?」

涼しい顔をして嘘をつく。

実は、まだ制服の内側にあるのだが。

「え、もう?」

「UFO観賞しながら食べちゃった」

「えぇ〜!贅沢〜!」

「贅沢でしょ〜?」 

ごめんね、ツキナ。

嘘八百で。

「美味しかった?」

「おっ…おいっ…しっ、かったよ〜?」

「そっか!なら良かった!」

「…」

かつてない罪悪感。死にそう。

嘘八百万。

「夏野菜が終わったら、今度は冬野菜を植えようね〜!」

「…そーだね…」

既に、嫌な予感しかしないが。

これも、ツキナの笑顔を守る為。

故に、俺は今日も園芸部に通うのである。

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