神殺しのクロノスタシスⅢ
…その後。

学生寮に戻る途中。

「あ」
 
「あ」

廊下の曲がり角で、『八千代』と遭遇。

こいつ、他の生徒と違って気配がないから。

いきなり現れたように見えるのだ。

多分、向こうも同じこと思ってるのだろうけど。

幽霊みたいな奴だよ、全く。

しかし、今ばかりは丁度良い。

「『八千代』。君にプレゼントをあげよう」

「え、何?」

どういう風の吹き回しだ、って思ったろう?

こういう風の吹き回したが、仔細な事情を教えている時間が惜しい。

ので。

「はい」

「…」

『八千代』の手に、先程制服の裏に隠していたトマトを握らせた。

「じゃあね〜」

脳みそでも、一応食べ物だからな。

無駄にはしなかったぞ。

あとは『八千代』が好きにすれば良い。

はー、スッキリした。
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