神殺しのクロノスタシスⅢ
例年の夏休みなら、シルナは、

うぇぇ〜ん生徒がいないよ〜ぴえ〜ん、とうるさいのだが。

今年は、令月とすぐりが学院に残っているので。

例年に比べれば、かなり控えめだ。

そして、教師陣含め、学院に残った者達の夏休みの過ごし方も、十人十色。

イレースは、相変わらず職員室にこもって。

普段は出来ない生徒の成績管理や、カリキュラムの見直しなど、黙々とデスクに向かい合っている。
 
彼女は、教師の鑑だな。

で、天音はというと。

そんな多忙なイレースの補佐に加え、医務室の備品を見直したり、補充したり。

その他に、学院内の細々とした事務仕事を担当してくれている。

本当は彼は養護教員なのだから、そんなことはする必要ないのだが。

「やることがないと退屈だし、イレースさん忙しそうだから」と、笑顔でイレースを手伝っていた。

彼も教師の鑑だな。

で、ナジュは何をしているかと言うと。

「はー、折角の夏休み!そんな訳で僕は、昼間からリリスとイチャついてきまーす」と言って、精神世界に入り浸り。

たまに出てきたと思ったら、シルナのお菓子を摘み食い。

あいつはもうクビにしろ。

そして生徒組、令月とすぐりだが。

令月は、「体力作りの良い機会」とか何とか言って。

炎天下の中、グラウンドを走り回ったり、腕立て伏せ、腹筋、スクワットと、忙しくしていた。

更に、学院の近所にある市営プールに通っては、泳ぎまくってるとか。

熱中症に気をつけろよ。

一方のすぐりは、令月に比べれば、元気がなかった。

彼も体力作りはしているようだったが、それより、園芸部の畑を管理するのに忙しそうだった。

昨日会ったとき、「月の消えた夜空のようだ…」とか呟いていたんだが、あいつは大丈夫だろうか。

で、俺とシルナはと言うと。

「…暇だ!」

「うわっ、びっくりした」

デスクに突っ伏して、てろーんと溶けているシルナをよそに。

俺は、例によってレティシアが薦めてくれた、新しい魔導書を読んでいたところだったのだが。

シルナが、いきなりガバっと起き上がった。

「何だよ、いきなり」

「暇だよ羽久〜!私は暇だ!」

…やべぇ。

シルナが、またかまちょモードに入ってるぞ。
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