神殺しのクロノスタシスⅢ
「ユリーシャちゃん!ユリーシャちゃんじゃないか〜!久し振り!」

シルナ、久々の卒業生との邂逅に、大喜び。

ユリーシャは本当に久し振りだよな。

その友達のレティシアとは、王立図書館で度々会うのだが。 

「はい!お久し振りです、学院長先生。グラスフィア先生も」

「元気?何か困ってることはない?」

卒業しても、一度シルナの生徒となったからには。

元生徒の近況が、気になって仕方ないらしい。

シルナらしい。

「はい!元気ですよ」

在学中と変わらない、屈託のない笑顔。

変わりないようで、何よりだ。

「フェリーチェちゃんは?彼女も元気?」

シルナは、ユリーシャとレティシアの、もう一人の友達の名前を出した。

肝心なことはすぐ忘れるが、生徒の交友関係については、卒業しても忘れないらしい。

フェリーチェとは、ユリーシャとレティシアの共通の友達だ。

ユリーシャと一緒に、学院を卒業した仲でもある。

レティシアは、色々あって学院を退学したが。

あの後も、互いに交流はしていたらしい。

「はい。フェリーチェちゃんも元気ですよ。今日は別の任務で出掛けてますけど…」

「そっかぁ〜。会えないのは残念だけど…。でも元気なら良かった!」

心から嬉しそうなシルナである。

卒業生の動向は、なかなか知る機会がないからな。

こんな偶然で、二人の卒業生の動向を知れて、ご満悦の様子。

良かったな。

「それで学院長先生、グラスフィア先生。今日はどうしたんですか?わざわざ…」

「あ、いや…」

まさか、暇だから来ました、とも言えず。

仕方ない。

「ジュリスとベリクリーデ、知ってるか?」

シルナの代わりに、俺が質問することにした。

「…??大隊長お二人のことですか?知ってますが…」

「今何処にいるか知ってる?」

「あ、ジュリス大隊長と、ベリクリーデ大隊長に会いに来られたんですね」

そういう訳じゃないけど…。まぁ、そういうことにしておこう。

間違ってはないし。

「お二人なら、最近よく訓練場で訓練に励んでいらっしゃいますよ」

「え、訓練場?」

「はい、ほぼ貸し切り状態で。確か、第三訓練場だったかな…」

「…」

二人の居場所が分かったのは良いけど。

…訓練場?

何やってるんだ、そんなところで。

「分かった。行ってみる」

「はい。お気をつけて!」

…気をつけて?

「じゃあな、ユリーシャ。達者でな」

「また学院にも遊びに来てね〜!今度はフェリーチェちゃんも一緒に!」

「はい!学院長先生も、グラスフィア先生も身体に気をつけて!」

お前もな、ユリーシャ。

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