神殺しのクロノスタシスⅢ
…で。

ジュリスとベリクリーデの二人は、何だって訓練場に入り浸っているのだろう?

聖魔騎士団魔導部隊大隊長として、研鑽を積む為…と言えば、大変聞こえは良いが。

ジュリスは、今更研鑽を積むまでもなく、充分強い。

ああ見えて、ジュリスは俺より長生きだからな。

「前の」俺とどっちが歳上なのかは…知らないが。

それに、ベリクリーデ。

大抵いつもぽやんとしている彼女が、いきなり「よし、私訓練する!」と意気込んで、それをジュリスに付き合ってもらってる?

いや…それはないと思う…。

しかも、貸し切り状態というのが気になる。

訓練場は、魔導部隊の魔導師なら、誰にでも開放されている場所だ。

それなのに、何故わざわざ、あの広い訓練場を貸し切っているのだろう。

別に、そんな独占欲の強い二人ではないはずだが。

一体、二人で何をやって…。

「あ、ここだ。第三訓練場」

疑問を抱きながら、第三訓練場に到着。

ここに、ジュリスとベリクリーデがいるらしい。

とりあえず、ノックしてから…いや、訓練してたらノックの音なんて聞こえないか。

と、思っていたら。

「お邪魔しまーす」

「あ、おいコラシルナ」

またしても、ノックなしに突撃。

少しは中にいる人のことを考えろ、と言おうとした、

そのとき。

俺達は、知ることになる。

挨拶なんて、している余裕はないということを。

訓練場の扉を、開けた瞬間。

シルナが、飛んできた魔導人形に激突。

シルナは魔導人形と共に、俺の遥か彼方後方に、ばびゅーんと吹き飛んだ。
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