神殺しのクロノスタシスⅢ
いざ。
令月とすぐりの対決が始まった。
令月の武器は、両手に木刀二本。
対するすぐりの武器は、言わずもがな、あの自由自在の糸と、黒い二本のワイヤーである。
毒魔法は禁止されたものの、他の魔法に関しては禁じられていない。
手数が多いのは、圧倒的にすぐりだ。
令月は二本の木刀と、唯一彼が使える力魔法しかない訳だからな。
故に。
開始すると同時に、令月は先手必勝とばかりに飛び出した。
すぐりの戦闘スタイルは、糸を張り巡らせ、自分のフィールドを作って敵を絡め取るもの。
だからこそ、糸を展開される前に、カタをつけようとしたのだ。
その速さと言ったら、素人なら目で追うことすら出来なかっただろう。
しかし。
すぐりの方も、そんなことはお見通し。
令月の初太刀を、すぐりは黒いワイヤー二本で防御した。
恐ろしいのは、木刀なのに、あの硬いワイヤーに傷がついていたことだ。
どんな威力だよ、あれ。
初太刀を防いだすぐりは、すぐさま両手の糸で令月の木刀を絡め取ろうとした、
ので。
防がれたと同時に、令月は飛び退いて、すぐりから距離を取った。
その隙に、すぐりはワイヤーを再生し、更に両手の糸も増産していた。
段々と…すぐりのペースになってきてるか?
糸を増やされると、令月には辛いだろう。
しかし、令月は動じない。
それすら想定内とでも言うように、再び木刀を構え直した。
二人共、動揺するということを知らない。
そして。
距離が離れるが否や、すぐりの黒いワイヤーが襲い掛かってきた。
物凄い速度と威力。
こちらもまた、目で追うのに必死だが。
令月は、必要最低限の動きでワイヤーをかわし。
かわしながら、すぐりに近づいていった。
令月は、自分の弱みを知っている。
敵の懐に入らなければ、倒すことは出来ない。
故に、すぐりのワイヤーを避けながら、すぐりに接近しようとした。
その体幹の鍛え上げられたことと言ったら、お前は体操選手か何かなのかと突っ込みたくなるくらい。
縦横無尽に襲ってくるワイヤーを、アクロバティックな動きで避けていた。
どんだけ身体柔らかいんだ、あいつ。
あの体勢で、体幹崩れてないのが凄い。
さすが接近戦のプロと言ったところか。
しかし。
「!?」
その令月の体勢が、崩れた。
「足元にはご注意、ってね」
糸だ。
すぐりは、黒い二本のワイヤーとワイヤーの隙間に、こっそり透明な、細い糸を仕込ませていた。
その透明な糸に気づかず引っ掛かって、令月は足元を崩された。
すぐりが、その隙を逃すはずがなく。
体勢を崩した令月の喉元に、黒いワイヤーを突き立てようとした。
お、おい殺し合いじゃないって分かってるよな?
しかし。
令月は、敢えて体勢を立て直そうとはせず。
そのまま足を滑らせ、床に倒れながら、横に身体を一回転。
すんでのところで、すぐりのワイヤーを避けた。
…あの体勢から避けるの?マジで?
どんだけ体幹強いんだ。
シルナだったら、あっという間に尻餅ついて、すぐりワイヤーの餌食になっていたことだろう。
鈍臭いからな。シルナは。
「令月君が凄いけど…。同時に羽久が、私に失礼なこと考えてる気がする…」
シルナが横で何か言ってたが、目の前の試合が凄過ぎて、それどころじゃない。
令月とすぐりの対決が始まった。
令月の武器は、両手に木刀二本。
対するすぐりの武器は、言わずもがな、あの自由自在の糸と、黒い二本のワイヤーである。
毒魔法は禁止されたものの、他の魔法に関しては禁じられていない。
手数が多いのは、圧倒的にすぐりだ。
令月は二本の木刀と、唯一彼が使える力魔法しかない訳だからな。
故に。
開始すると同時に、令月は先手必勝とばかりに飛び出した。
すぐりの戦闘スタイルは、糸を張り巡らせ、自分のフィールドを作って敵を絡め取るもの。
だからこそ、糸を展開される前に、カタをつけようとしたのだ。
その速さと言ったら、素人なら目で追うことすら出来なかっただろう。
しかし。
すぐりの方も、そんなことはお見通し。
令月の初太刀を、すぐりは黒いワイヤー二本で防御した。
恐ろしいのは、木刀なのに、あの硬いワイヤーに傷がついていたことだ。
どんな威力だよ、あれ。
初太刀を防いだすぐりは、すぐさま両手の糸で令月の木刀を絡め取ろうとした、
ので。
防がれたと同時に、令月は飛び退いて、すぐりから距離を取った。
その隙に、すぐりはワイヤーを再生し、更に両手の糸も増産していた。
段々と…すぐりのペースになってきてるか?
糸を増やされると、令月には辛いだろう。
しかし、令月は動じない。
それすら想定内とでも言うように、再び木刀を構え直した。
二人共、動揺するということを知らない。
そして。
距離が離れるが否や、すぐりの黒いワイヤーが襲い掛かってきた。
物凄い速度と威力。
こちらもまた、目で追うのに必死だが。
令月は、必要最低限の動きでワイヤーをかわし。
かわしながら、すぐりに近づいていった。
令月は、自分の弱みを知っている。
敵の懐に入らなければ、倒すことは出来ない。
故に、すぐりのワイヤーを避けながら、すぐりに接近しようとした。
その体幹の鍛え上げられたことと言ったら、お前は体操選手か何かなのかと突っ込みたくなるくらい。
縦横無尽に襲ってくるワイヤーを、アクロバティックな動きで避けていた。
どんだけ身体柔らかいんだ、あいつ。
あの体勢で、体幹崩れてないのが凄い。
さすが接近戦のプロと言ったところか。
しかし。
「!?」
その令月の体勢が、崩れた。
「足元にはご注意、ってね」
糸だ。
すぐりは、黒い二本のワイヤーとワイヤーの隙間に、こっそり透明な、細い糸を仕込ませていた。
その透明な糸に気づかず引っ掛かって、令月は足元を崩された。
すぐりが、その隙を逃すはずがなく。
体勢を崩した令月の喉元に、黒いワイヤーを突き立てようとした。
お、おい殺し合いじゃないって分かってるよな?
しかし。
令月は、敢えて体勢を立て直そうとはせず。
そのまま足を滑らせ、床に倒れながら、横に身体を一回転。
すんでのところで、すぐりのワイヤーを避けた。
…あの体勢から避けるの?マジで?
どんだけ体幹強いんだ。
シルナだったら、あっという間に尻餅ついて、すぐりワイヤーの餌食になっていたことだろう。
鈍臭いからな。シルナは。
「令月君が凄いけど…。同時に羽久が、私に失礼なこと考えてる気がする…」
シルナが横で何か言ってたが、目の前の試合が凄過ぎて、それどころじゃない。