神殺しのクロノスタシスⅢ
「はい、じゃあ第三段」
「…まだあるの?」
「人の数だけ、不幸な人生はありますけど」
吐月さんの話なんか、どうだ?
最高に不幸にまみれてて、頭狂ってしまいそうになるだろう?
「もう良いよ…」
「まぁまぁ、そう言わず。じゃあ、僕が知る中で、最も不幸な人生を送ってる人の話をしますから。それで最後にしましょう」
「…何?」
お、興味出たかな?
あの人の話は、本当に不幸だからなー。
僕も、口にするのは憚られるよ。
「昔々の話、とある世界で、光の神様と闇の神様が、大戦争を始めました」
「…」
「しかし光の神様は、人々を守る為に犠牲になり、このままでは闇の神様が勝利してしまう…ことを危惧した、とある賢者の里で、一人の賢者に秘密の魔法を使わせることを決めました」
「…」
「しかしその魔法は、術者である賢者を除き、里の全ての賢者達の命を供物に捧げ、ようやく可能になる、とっても恐ろしい魔法でした。しかもその魔法では、神様を封印することしか出来ず、滅ぼすことは出来ない。いわば、その場しのぎの魔法でした」
「…」
話を聞いているのかいないのか、無言のすぐりさんである。
聞いてくれてると信じて、話し続けよう。
「里の人々は、術者に選ばれた賢者様に願いを託しました。どうかいつか、闇の神様を滅ぼしてくれ、それが死にゆく我々の悲願だから、と。選ばれた賢者様は答えます。必ず為し遂げる、安心して眠ってくれと」
「…」
「賢者様は仲間の命を犠牲にして、闇の神様を封印します。そして賢者様は、いつか闇の神様が封印から目覚めたとき、確実に滅ぼせる方法を模索し、これまた僕と同じく、放浪の旅を続けます。自分に全てを託して死んでいった、同胞達の悲願を叶える為に…。…どうです?悲しいでしょう?」
「悲しいの…?それ…厄介なこと背負わされたなーとは思うけど…」
子供は素直だ。
「…まだあるの?」
「人の数だけ、不幸な人生はありますけど」
吐月さんの話なんか、どうだ?
最高に不幸にまみれてて、頭狂ってしまいそうになるだろう?
「もう良いよ…」
「まぁまぁ、そう言わず。じゃあ、僕が知る中で、最も不幸な人生を送ってる人の話をしますから。それで最後にしましょう」
「…何?」
お、興味出たかな?
あの人の話は、本当に不幸だからなー。
僕も、口にするのは憚られるよ。
「昔々の話、とある世界で、光の神様と闇の神様が、大戦争を始めました」
「…」
「しかし光の神様は、人々を守る為に犠牲になり、このままでは闇の神様が勝利してしまう…ことを危惧した、とある賢者の里で、一人の賢者に秘密の魔法を使わせることを決めました」
「…」
「しかしその魔法は、術者である賢者を除き、里の全ての賢者達の命を供物に捧げ、ようやく可能になる、とっても恐ろしい魔法でした。しかもその魔法では、神様を封印することしか出来ず、滅ぼすことは出来ない。いわば、その場しのぎの魔法でした」
「…」
話を聞いているのかいないのか、無言のすぐりさんである。
聞いてくれてると信じて、話し続けよう。
「里の人々は、術者に選ばれた賢者様に願いを託しました。どうかいつか、闇の神様を滅ぼしてくれ、それが死にゆく我々の悲願だから、と。選ばれた賢者様は答えます。必ず為し遂げる、安心して眠ってくれと」
「…」
「賢者様は仲間の命を犠牲にして、闇の神様を封印します。そして賢者様は、いつか闇の神様が封印から目覚めたとき、確実に滅ぼせる方法を模索し、これまた僕と同じく、放浪の旅を続けます。自分に全てを託して死んでいった、同胞達の悲願を叶える為に…。…どうです?悲しいでしょう?」
「悲しいの…?それ…厄介なこと背負わされたなーとは思うけど…」
子供は素直だ。