神殺しのクロノスタシスⅢ
いざ、キュレムとルイーシュを連れ。
稽古場に行ってみると。
「だからぁ、そこの糸を足場にすれば良いんだって!」
「えっ、何処?」
「右下ですよ右下。まぁ僕が切るんですけどね」
「ちっ!言わんこっちゃ…」
「って、言ってるあなたも後ろ、危ないですよー」
「っ!『八千歳』!」
「分かってるから、こっち来なくて…それより前!」
「え?」
ナジュに背後を取られたすぐりを、助けに入ろうと。
勢いよく飛び出したは良いが。
令月は、すぐりの張り巡らせた糸に躓き。
べシャッ、と床に転倒。
一方のすぐりも。
「くっ…」
「接近戦は得意じゃないでしょう?令月さんに前衛任せてるから、余計に」
肉薄するナジュに、苦戦するすぐり。
を、守ろうとしたのか庇おうとしたのか。
令月は転んだ姿勢のまま、片手に持った木刀を、思いっきりナジュに向かって投擲した。
の、だが。
「わっ、危なー」
「は!?」
令月の予想外の行為に、ナジュの方がいち早く反応し。
すぐりを盾にして、自分の身を守った。
お陰で、ナジュに向かって投げた木刀が、すぐりに激突。
「いったぁぁぁ!何すんの!?」
「あ、ごめん…」
…ごめんで済む痛さじゃないだろうなぁ。
試合終了。
またしても、ナジュ一人に敗北。
「何度も言ってるじゃん!足場!足元!よく見て動きなよ。何の為に糸で足場作ってあげてると思ってるのさ!」
「それは…ごめん。でも…何度も言ってるけど、糸見えない」
「だから何度も言ってるじゃん!見えやすくしたら、敵にも見えやすくなるの!それじゃ意味ないじゃんかー!」
「うん」
「ってか木刀!めっちゃ痛いんだけど!真剣だったら死んでるよ!」
「助けようと思って…」
「むしろ背中刺された気分だよ!」
…と。
ご覧の通りの連携ですが。
キュレムとルイーシュ師匠は、どう見る?
ちらり、とキュレムとルイーシュを見ると。
二人共、真顔で令月達を見つめ。
「…なぁ、ルイーシュ」
「何ですか」
「俺達さぁ、初めて共闘したときも、あれほど酷くはなかったよなぁ」
「そうですね。少なくとも、あれの十倍はマシな連携プレーしてましたね」
…そうか。
想像はしていたが、やっぱりそれほど酷いか。
「この間から、毎日ずっと訓練して…ご覧の有り様なんだよ。」
「これはもう無理ですね。教えるだけ無駄ですね。よし帰りましょう」
くるり、と踵を返すルイーシュ。
「待てルイーシュ。諦めるの早過ぎだろお前」
「だってキュレムさんだって、今匙投げたいと思ったでしょ」
「思ったけど、我慢してるんだよ!後輩の為に何とか一肌脱いでやりたい、その思いだけで頑張って留まってるんだよ!俺のやる気を削ぐんじゃない!」
ルイーシュのみならず、キュレムまで匙を投げたいレベルなのか。
これは重症だな。
「…?あの人達、誰?」
「あ、見たことある…。聖魔騎士団の人達だ」
すぐりと令月が、こちらに気づいた。
…よし。
「令月、すぐり、ちょっと来い」
「なーに?誰?この人達」
「お前らの先輩だよ。学院OB」
「…?そんな人が、何か用なの?」
「お前らの、救いようのない連帯感のなさを何とかする為に、助っ人を呼んだんだ。令月は知ってるだろ?」
『アメノミコト』とのイーニシュフェルト魔導学院攻防戦で、キュレムとルイーシュにも会ったはずだ。
「知ってる。窓ガラス自費で払わされた人だよね」
「嫌な覚えられ方だなぁおい!」
う、うん。
まぁ、覚えてるんだからよしとしよう。
「『八千歳』。この人達何なの?」
「凄く連携プレーか上手い人達。あと、窓ガラスを自費で…」
「窓ガラス云々はどうでも良いわぁ!それよりお前達、未熟なお前達の為に、今から俺とルイーシュが色々教えてやる。心して学べ!」
「…」
「…」
「返事は!?」
「…『八千歳』。本当にこの人達凄いの?」
「僕が見た限りでは…。でも窓ガラスを自費で払わされて…」
「それは忘れろっての!何こいつら。生意気にも程があるんだけど!?躾がなってないね躾が!」
…済まん。キュレム。
悪意はない。
そういう奴らなんだ。勘弁してやってくれ。
稽古場に行ってみると。
「だからぁ、そこの糸を足場にすれば良いんだって!」
「えっ、何処?」
「右下ですよ右下。まぁ僕が切るんですけどね」
「ちっ!言わんこっちゃ…」
「って、言ってるあなたも後ろ、危ないですよー」
「っ!『八千歳』!」
「分かってるから、こっち来なくて…それより前!」
「え?」
ナジュに背後を取られたすぐりを、助けに入ろうと。
勢いよく飛び出したは良いが。
令月は、すぐりの張り巡らせた糸に躓き。
べシャッ、と床に転倒。
一方のすぐりも。
「くっ…」
「接近戦は得意じゃないでしょう?令月さんに前衛任せてるから、余計に」
肉薄するナジュに、苦戦するすぐり。
を、守ろうとしたのか庇おうとしたのか。
令月は転んだ姿勢のまま、片手に持った木刀を、思いっきりナジュに向かって投擲した。
の、だが。
「わっ、危なー」
「は!?」
令月の予想外の行為に、ナジュの方がいち早く反応し。
すぐりを盾にして、自分の身を守った。
お陰で、ナジュに向かって投げた木刀が、すぐりに激突。
「いったぁぁぁ!何すんの!?」
「あ、ごめん…」
…ごめんで済む痛さじゃないだろうなぁ。
試合終了。
またしても、ナジュ一人に敗北。
「何度も言ってるじゃん!足場!足元!よく見て動きなよ。何の為に糸で足場作ってあげてると思ってるのさ!」
「それは…ごめん。でも…何度も言ってるけど、糸見えない」
「だから何度も言ってるじゃん!見えやすくしたら、敵にも見えやすくなるの!それじゃ意味ないじゃんかー!」
「うん」
「ってか木刀!めっちゃ痛いんだけど!真剣だったら死んでるよ!」
「助けようと思って…」
「むしろ背中刺された気分だよ!」
…と。
ご覧の通りの連携ですが。
キュレムとルイーシュ師匠は、どう見る?
ちらり、とキュレムとルイーシュを見ると。
二人共、真顔で令月達を見つめ。
「…なぁ、ルイーシュ」
「何ですか」
「俺達さぁ、初めて共闘したときも、あれほど酷くはなかったよなぁ」
「そうですね。少なくとも、あれの十倍はマシな連携プレーしてましたね」
…そうか。
想像はしていたが、やっぱりそれほど酷いか。
「この間から、毎日ずっと訓練して…ご覧の有り様なんだよ。」
「これはもう無理ですね。教えるだけ無駄ですね。よし帰りましょう」
くるり、と踵を返すルイーシュ。
「待てルイーシュ。諦めるの早過ぎだろお前」
「だってキュレムさんだって、今匙投げたいと思ったでしょ」
「思ったけど、我慢してるんだよ!後輩の為に何とか一肌脱いでやりたい、その思いだけで頑張って留まってるんだよ!俺のやる気を削ぐんじゃない!」
ルイーシュのみならず、キュレムまで匙を投げたいレベルなのか。
これは重症だな。
「…?あの人達、誰?」
「あ、見たことある…。聖魔騎士団の人達だ」
すぐりと令月が、こちらに気づいた。
…よし。
「令月、すぐり、ちょっと来い」
「なーに?誰?この人達」
「お前らの先輩だよ。学院OB」
「…?そんな人が、何か用なの?」
「お前らの、救いようのない連帯感のなさを何とかする為に、助っ人を呼んだんだ。令月は知ってるだろ?」
『アメノミコト』とのイーニシュフェルト魔導学院攻防戦で、キュレムとルイーシュにも会ったはずだ。
「知ってる。窓ガラス自費で払わされた人だよね」
「嫌な覚えられ方だなぁおい!」
う、うん。
まぁ、覚えてるんだからよしとしよう。
「『八千歳』。この人達何なの?」
「凄く連携プレーか上手い人達。あと、窓ガラスを自費で…」
「窓ガラス云々はどうでも良いわぁ!それよりお前達、未熟なお前達の為に、今から俺とルイーシュが色々教えてやる。心して学べ!」
「…」
「…」
「返事は!?」
「…『八千歳』。本当にこの人達凄いの?」
「僕が見た限りでは…。でも窓ガラスを自費で払わされて…」
「それは忘れろっての!何こいつら。生意気にも程があるんだけど!?躾がなってないね躾が!」
…済まん。キュレム。
悪意はない。
そういう奴らなんだ。勘弁してやってくれ。