神殺しのクロノスタシスⅢ
「…」

「…」

二人の容赦ない先輩に、完全敗北かつ、完全論破され。

無言で落ち込む、元暗殺者二人組。

…うん。

「ま、そんなこと言われてもって感じだろ?心配すんな、それは時間が解決してくれる問題だから」

キュレムが、楽観的に言った。

「俺だって、初めて会ったときから100パールイーシュを信頼してた訳じゃないし。初めの頃なんか、ルイーシュに空間魔法で転移させられる度、『異空間に置き去りにされるんじゃね?』って心配したもんだよ」

「失礼な。そんなミスはしませんよ俺。…多分」

「ほらぁ!すぐそうやって不安なこと言うのやめてくんない!?」

ついうっかりで、異空間に取り残されたら。

…冗談じゃ済まないよな。

「そういうのは、時間をかけて築いていくもんだ。場数をこなせば、いずれ自然とお互いを信頼して動けるようになるよ」

「…時間…時間、か」 

すぐりは、あぐらをかいて床に座った。

「大人の言うことはいつもそれだよねー。時間が、経験が解決してくれるって、そればっか。俺達は、今困ってるのにさ」

「本当だよ。こんな大人にはなりたくないね、『八千歳』」

「ほんとそれ。俺達は、こういう大人にはならないようにしよう」

言われてるぞ、子供に。

「…学院長。何でこんな生意気なのコイツら?」

「ま、まぁ…。充分参考にはなったと思うから…」

「まずは性根の方から直した方が良い、って奴ですかね〜」

「お・ま・え・が、言うな馬鹿ルイーシュ」

…ごもっとも。

令月、そしてすぐり。

先輩達の忠告を胸に刻んで、また鍛錬に励むと良い。

今こうして、互いに悩んで葛藤している時間は。

いつか必ず、お前達の強い力になるはずだから。
< 543 / 822 >

この作品をシェア

pagetop