神殺しのクロノスタシスⅢ
令月とこいつの間で、何があったのか。
本人達の口から聞いた訳ではないが、大体のところは検討がついている。
あの二人の間で、決着がつく前に俺達があの森の奥に辿り着けたのは、正に間一髪だった。
大変だったんだぞ。
事の始まりは、まず今朝、ナジュの元ルームメイトだった生徒からの報告だ。
ユイト・ランドルフという、この春から二年生になった生徒。
現在は、令月のルームメイトだが。
昨年は、ナジュのルームメイトだった少年である。
癖のある生徒ばかりと同室にさせて、ユイトには申し訳ないが。
そんな彼が、今朝、自分の授業を受ける前に、ナジュのもとに駆けつけた。
ナジュは、お得意の読心魔法で、ユイトから「令月の様子がおかしかった」と読み取り。
これは非常時と判断し、授業を切り上げて学院長室に飛び込んできた。
そして学生寮を訪ねてみると、そこはもぬけの殻。
おかしいと思ったんだよ。
あの、生活習慣がロボット並みに模範的な令月が、体調を崩すはずがない。
おまけに見てみれば、令月の部屋は三階にあるにも関わらず、窓が開いて、そこが開けっ放しになっていた。
これは間違いなく脱走だと判断。
学院の敷地内に、無数に散りばめられたシルナの昆虫分身達の目は、完全に節穴だった訳だ。
今度見つけたら、デコピンしてやろう。
それ以上に腹が立ったのは、令月が約束を破ったことである。
一人で背負うな、と言ったのに。
あいつは、約束した傍から、早速約束すっぽかして、一人で出ていったのだ。
約束守れないタイプだ。あいつは。
イレースに脳天雷落とししてもらうこと、確定。
とにかく、抜け出した令月の居場所を探らなければならない。
これはもう形振り構ってはいられないと、即時聖魔騎士団魔導部隊に連絡。
探索魔法専門魔導師のエリュティアに、緊急要請。
すぐに、令月が部屋に残した『痕跡』から、居場所を探ってもらった。
で、見つけたのが森の奥。
イレースに学院のことを任せ、俺とシルナと、怪我をしているかもしれないということで天音と、厄介だけど敵相手には何かと役に立つ、読心魔法使いのナジュを連れ。
四人で森の奥に向かうと。
今まさに、令月がこの少年に、とどめを刺そうとしているところだった。
何となく事情は察したが、令月にこれ以上、人殺しをさせたくはなかった。
俺は咄嗟に時を止め、二人を引き剥がし。
シルナと天音両名で、それぞれに回復魔法をかけ。
生きるか死ぬかの令月は、学院の医務室で、天音に預け。
令月に比べれば軽傷だったこの少年は、こうして目の前に引き立てられ…いや座ってるけど…とにかく、いる。
そして。
「楽しい楽しい尋問のお時間ですね~」
何故か超嬉しそうに、ナジュが学院長室に入ってきた。
…何が楽しいんだ。この野郎。
本人達の口から聞いた訳ではないが、大体のところは検討がついている。
あの二人の間で、決着がつく前に俺達があの森の奥に辿り着けたのは、正に間一髪だった。
大変だったんだぞ。
事の始まりは、まず今朝、ナジュの元ルームメイトだった生徒からの報告だ。
ユイト・ランドルフという、この春から二年生になった生徒。
現在は、令月のルームメイトだが。
昨年は、ナジュのルームメイトだった少年である。
癖のある生徒ばかりと同室にさせて、ユイトには申し訳ないが。
そんな彼が、今朝、自分の授業を受ける前に、ナジュのもとに駆けつけた。
ナジュは、お得意の読心魔法で、ユイトから「令月の様子がおかしかった」と読み取り。
これは非常時と判断し、授業を切り上げて学院長室に飛び込んできた。
そして学生寮を訪ねてみると、そこはもぬけの殻。
おかしいと思ったんだよ。
あの、生活習慣がロボット並みに模範的な令月が、体調を崩すはずがない。
おまけに見てみれば、令月の部屋は三階にあるにも関わらず、窓が開いて、そこが開けっ放しになっていた。
これは間違いなく脱走だと判断。
学院の敷地内に、無数に散りばめられたシルナの昆虫分身達の目は、完全に節穴だった訳だ。
今度見つけたら、デコピンしてやろう。
それ以上に腹が立ったのは、令月が約束を破ったことである。
一人で背負うな、と言ったのに。
あいつは、約束した傍から、早速約束すっぽかして、一人で出ていったのだ。
約束守れないタイプだ。あいつは。
イレースに脳天雷落とししてもらうこと、確定。
とにかく、抜け出した令月の居場所を探らなければならない。
これはもう形振り構ってはいられないと、即時聖魔騎士団魔導部隊に連絡。
探索魔法専門魔導師のエリュティアに、緊急要請。
すぐに、令月が部屋に残した『痕跡』から、居場所を探ってもらった。
で、見つけたのが森の奥。
イレースに学院のことを任せ、俺とシルナと、怪我をしているかもしれないということで天音と、厄介だけど敵相手には何かと役に立つ、読心魔法使いのナジュを連れ。
四人で森の奥に向かうと。
今まさに、令月がこの少年に、とどめを刺そうとしているところだった。
何となく事情は察したが、令月にこれ以上、人殺しをさせたくはなかった。
俺は咄嗟に時を止め、二人を引き剥がし。
シルナと天音両名で、それぞれに回復魔法をかけ。
生きるか死ぬかの令月は、学院の医務室で、天音に預け。
令月に比べれば軽傷だったこの少年は、こうして目の前に引き立てられ…いや座ってるけど…とにかく、いる。
そして。
「楽しい楽しい尋問のお時間ですね~」
何故か超嬉しそうに、ナジュが学院長室に入ってきた。
…何が楽しいんだ。この野郎。