神殺しのクロノスタシスⅢ
とりあえず。
シルナが、そっと話しかけた。
「…えーと。目を閉じたまま聞いてくれるかな」
「何?」
「君のお名前は?」
「黙秘」
そうなるよな。
仕方ない。こいつのことは、これから黙秘君と呼ぼう。
黙秘君(仮名)。
本人が喋らないんだから仕方ない。
「じゃあじゃあ、年はいくつかな?」
「黙秘」
駄目か。
「年齢は憶測出来るでしょう。見たところ…令月さんと同じくらいか、一つくらい年下か…」
と、イレース。
だな。
俺達だって、その年の子供達を毎年預かってるんだ。
顔立ちや体格、声を聞けば、大体の年齢は分かる。
多分、令月とさして変わらない。
…気に入らない。
黙秘君に対して、ではない。
令月しかり、この黙秘君しかり。
こんな、まだ年端も行かない子供を、平気で暗殺者に仕立てあげる『アメノミコト』の手口が。
「じゃあ、少年」
「…」
「君は、ここに何をしに来たの?」
「…それ、いちいち口に出して答えなきゃならないこと?」
…と、馬鹿にしたような口調。
言い方はムカつくが、その通りだな。
彼がここに何をしに来たのかなんて、愚問というものだ。
俺達は、実際見たのだから。
令月とこの少年が、生きるか死ぬかの決闘を繰り広げているところを。
「…令月君を殺しに来たの?」
「…黙秘」
「令月君を殺そうとしてたよね」
「黙秘」
まぁ…逆に令月が、こいつを殺そうともしてたけど…。
とにかく、殺し合っていたのは事実だ。
「君は『アメノミコト』の、暗殺者なんだね?」
「黙秘」
「『アメノミコト』の頭領に言われて来たの?令月君を殺せって?」
「黙秘」
「ターゲットは令月君だけ?それとも、令月君の後、他にも殺す人がいたのかな」
「黙秘」
ちょっと、イラッとしてきた。
あまりにも黙秘されるから。
すると、イレースが。
「…さっきから聞いていれば、黙秘黙秘と」
「…」
「自分の立場が分かってるんですか?敵の手中に落ちておきながら、客人待遇でいられるのも…」
「ま、まぁイレースちゃん。ちょっと落ち着いて…」
とりあえず、脳天に一発、雷落としてやろうとでも思ったのか。
杖を取り出そうとするイレースを、シルナが慌てて止めた。
すると。
「何?脅してるの?」
挑発的に、黙秘君が言った。
「良いよ、好きなだけ脅せば。どうせ殺さないって分かってるもん。お優しいお優しいシルナ・エインリー学院長は、年端も行かない少年の暗殺者を殺せない。拷問にかけることも出来ない。でしょ?」
…こいつ。
「好きなだけ脅しなよ。ほら。拷問してみなよ。どうするの?やってみてよ」
…。
「…何だろう。出会った当初のナジュを彷彿とさせるムカつき加減」
「同感です。いっそ腹いせに、ナジュさんに雷落としましょうか」
「良い案だなイレース」
「うわー。僕腹いせに黒焦げですか?やっぱり精神世界に逃げよう」
「ちょっとちょっと君達。落ち着きなさいって」
ここに来て、仲間割れが始まる教師陣である。
それもこれも、この黙秘野郎のせいだ。
「お前な、殺されないと思って生意気なことばっか言ってたら…」
「どうなるの?」
…それは。
「生意気なことばっかり言ってたら、どうなるの?どうするの?殺せない癖に、何が出来るの?」
…。
シルナが、そっと話しかけた。
「…えーと。目を閉じたまま聞いてくれるかな」
「何?」
「君のお名前は?」
「黙秘」
そうなるよな。
仕方ない。こいつのことは、これから黙秘君と呼ぼう。
黙秘君(仮名)。
本人が喋らないんだから仕方ない。
「じゃあじゃあ、年はいくつかな?」
「黙秘」
駄目か。
「年齢は憶測出来るでしょう。見たところ…令月さんと同じくらいか、一つくらい年下か…」
と、イレース。
だな。
俺達だって、その年の子供達を毎年預かってるんだ。
顔立ちや体格、声を聞けば、大体の年齢は分かる。
多分、令月とさして変わらない。
…気に入らない。
黙秘君に対して、ではない。
令月しかり、この黙秘君しかり。
こんな、まだ年端も行かない子供を、平気で暗殺者に仕立てあげる『アメノミコト』の手口が。
「じゃあ、少年」
「…」
「君は、ここに何をしに来たの?」
「…それ、いちいち口に出して答えなきゃならないこと?」
…と、馬鹿にしたような口調。
言い方はムカつくが、その通りだな。
彼がここに何をしに来たのかなんて、愚問というものだ。
俺達は、実際見たのだから。
令月とこの少年が、生きるか死ぬかの決闘を繰り広げているところを。
「…令月君を殺しに来たの?」
「…黙秘」
「令月君を殺そうとしてたよね」
「黙秘」
まぁ…逆に令月が、こいつを殺そうともしてたけど…。
とにかく、殺し合っていたのは事実だ。
「君は『アメノミコト』の、暗殺者なんだね?」
「黙秘」
「『アメノミコト』の頭領に言われて来たの?令月君を殺せって?」
「黙秘」
「ターゲットは令月君だけ?それとも、令月君の後、他にも殺す人がいたのかな」
「黙秘」
ちょっと、イラッとしてきた。
あまりにも黙秘されるから。
すると、イレースが。
「…さっきから聞いていれば、黙秘黙秘と」
「…」
「自分の立場が分かってるんですか?敵の手中に落ちておきながら、客人待遇でいられるのも…」
「ま、まぁイレースちゃん。ちょっと落ち着いて…」
とりあえず、脳天に一発、雷落としてやろうとでも思ったのか。
杖を取り出そうとするイレースを、シルナが慌てて止めた。
すると。
「何?脅してるの?」
挑発的に、黙秘君が言った。
「良いよ、好きなだけ脅せば。どうせ殺さないって分かってるもん。お優しいお優しいシルナ・エインリー学院長は、年端も行かない少年の暗殺者を殺せない。拷問にかけることも出来ない。でしょ?」
…こいつ。
「好きなだけ脅しなよ。ほら。拷問してみなよ。どうするの?やってみてよ」
…。
「…何だろう。出会った当初のナジュを彷彿とさせるムカつき加減」
「同感です。いっそ腹いせに、ナジュさんに雷落としましょうか」
「良い案だなイレース」
「うわー。僕腹いせに黒焦げですか?やっぱり精神世界に逃げよう」
「ちょっとちょっと君達。落ち着きなさいって」
ここに来て、仲間割れが始まる教師陣である。
それもこれも、この黙秘野郎のせいだ。
「お前な、殺されないと思って生意気なことばっか言ってたら…」
「どうなるの?」
…それは。
「生意気なことばっかり言ってたら、どうなるの?どうするの?殺せない癖に、何が出来るの?」
…。