神殺しのクロノスタシスⅢ
第二部11章
――――――…天音を人質に取った暗殺者に指示され、中庭に向かう間。

俺とシルナは、一言も言葉を交わさなかった。

緊張しているから?

俺が洗脳されてるかもしれないから?

どれも違う。

俺とシルナの間に、今更言葉なんて、一つも要らないからだ。

やるべきことは、決まっている。

ただ、今も学院内の何処かで戦っているであろう仲間達を。

俺とシルナの、お互いのことを。

信じることだけだ。

そこに、言葉なんて一つも要らない。

そして。






「…ようやく来たか。忌々しい、我が一族の裏切り者…」

「ヴァルシーナちゃん…」

中庭で待っていたのは、予想通りの人物だった。
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