神殺しのクロノスタシスⅢ
「だ、だ、大丈夫なのイレースちゃん!?怪我は?もう治してもらった?無理して動いてない!?」

苦戦したと聞いて、途端に慌て出すシルナ。

本当にイレースが苦戦したのなら、まだ傷は癒えてないはず。

天音に治してもらっていたとしても、失った魔力と体力までは、完全には戻らない。

しばらく休んでいた方が良いんじゃないか、と思ったが。

「全くあの女には苦戦させられましたよ。ちょこまかと動き回って小癪な…。お陰で食堂の壁やテーブル、椅子がオシャカですよ。おまけに清掃にも時間がかかるし…」

「…」

「本当、厄介な敵でした。もう二度とやり合いたくないですね」

…あぁ。

苦戦したって…そういう意味ね…。

それで、食堂に風穴開いてたんだ。

あれ開けたの、イレースだったんだな。

道理で、妙に食堂が焦げ臭かった訳だよ。

…まぁ、無事だったから良かったとして。

天音は…よく分からんが、あまり詮索されたくないみたいだったし。

とりあえずあの後、自らを人質にした相手を、見事に返り討ちにしてやったということで。

特に怪我もなさそうだし、良かった。

…ということは。

「…結局、お前が一番苦戦したってことか?ナジュ」

「そんな、羽久さん人聞きの悪い。僕は超スマートに勝ちましたよ」

絶賛、右手首をびじゅびじゅ言わせながら再生してる奴が、なんか言ってる。

気色悪いから、それ早く再生してくれよ。
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