神殺しのクロノスタシスⅢ
翌日。

「終わったよー宿題!」

「はやっ!」

朝イチで、すぐりが宿題終了報告。

そして、

「僕も終わった」

令月の方も、終わったらしい。

令月は、元々ほとんど終わらせてたみたいだが…。

「…すぐり」

「何?」

「お前、昨日の睡眠時間は?」

「え?ゼロ!」

嬉しそうに言うなよ。

やっぱり、夜中に抜き打ちチェックしに行けば良かった。

「寝ろ馬鹿」

「えー、だいじょーぶだって」

何が大丈夫だ。

頭は冴えてるかもしれないが、身体の方は疲れてるんだぞ。

自分が自覚してないだけで。

「良いから、今からでも寝ろ」

どうせ、焼肉パーティは夜だ。

なら、昼寝でも良いからちょっとでも寝とけ。

全く寝ないよりは、昼寝の方がマシだろう。

「えー、無理だよ。だって、これから畑と花壇の世話しないといけないし」

「別に良いだろ、一日くらい…」

「駄目だよ。真夏なんだから、一日でも水やり欠かしちゃ駄目だって、ツキナに言われてるんだから」

あー、あの園芸部の部長な。

「そんなの俺がやっておくから」

「そんなの!?重要なことだよ野菜の手入れは」

いつからお前は、そんな百姓魂を宿したんだ。
 
「じゃあ、僕が羽久と一緒に、畑の世話をしてくるよ。それなら良い?」

と、提案する令月。

令月が?

「『八千代』が?んー…。まぁ『八千代』ならいーかなー」

「良いのか?」

「『八千代』には、今植えてある野菜の世話の仕方、ちょっと教えてあるんだよ」

そうなんだ。

お前達がそういう情報を共有するようになってて、そこは嬉しい。

「一日くらいなら、まぁ『八千代』に任せてもいーかな…。…ただし、下手なことしたら、三日くらい痒みが止まらなくなる毒飲ませるから。ちゃんとやってね。宜しく〜」

「うん、分かった」

とんでもないことを言い残し。

令月は令月で、何でもないことのように頷き。

すぐりは、さっさと学生寮に戻っていった。

…対する俺は。

もしかして、物凄く危険な任務を引き受けてしまったのでは?
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