神殺しのクロノスタシスⅢ
溜め息をついてたって、仕方ないので。
俺は、自室からアイロンとアイロン台を持ってきて。
くっちゃくちゃになったベリクリーデのシャツに、アイロンをかけていた。
…何故、俺がこんなことをやらなければならないのか。
女中か何か?
だって、みっともない格好で、隊舎をうろうろしてたら、だらしないだろ。
少なくとも俺は、見るに耐えん。
かといって、こいつに「自分でアイロンかけろ」と言っても無駄なことは分かっている。
前、やらせたことがあるからだ。
あまりにしわくちゃの制服を着ているものだから、「アイロンくらいかけろ」とやらせてみたら。
出来上がったのは、アイロンの形にこんがりといい加減に焼き上がった、アイロン模様の焦げシャツだった。
何なら、アイロン台まで火傷を負っていた。
どういう使い方をしたら、そういうことになるんだ。
説教してみたが、本人は何が悪かったのか、さっぱり分かってないご様子で。
きょとんと首を傾げているのだから、怒ろうにも怒れない。
お陰で、アイロン新調する羽目になった。
もう二度とこいつにアイロンは貸さんと心に決めて、代わりに俺がやってる。
「ジュリス」
「何だよ」
「もう着替えて良い?」
「今アイロンがけしてるから、ちょっと待ってろ」
「分かった。じゃあ、立ってるの疲れちゃったから、ベッドに座って待っ…」
「は!?馬鹿、座ったら汚れ、」
慌てて振り返るも。
「…もう座っちゃった」
「…」
お前は、自分が泥だらけ葉っぱまみれであることを自覚してないのか?
一瞬にして、真っ白だったはずのシーツが、泥にまみれて汚れた。
あの…馬鹿っ…。
「…?何か悪かった?」
「…いや」
もう何も言わねぇよ。
俺もな、放っとけば良いんだけど。あいつが汚れたシーツで寝ようが、葉っぱまみれのパジャマを着てようが。
放っとけば良いんだろうけど。
…分かってるのに放っておいたら、後味悪いだろうが。
もう良い。あの汚れたパジャマだって、洗濯しなきゃならないんだから。
ついでにシーツも洗えば良いだけだ。そう思おう。
俺は心の中で三度目の溜め息をつき、アイロンがけをして、パリッとしたシャツと制服を手渡した。
「ほら、出来たからこれに着替えろ」
「うん」
ベリクリーデは、シャツと制服を受け取るなり。
汚れたパジャマを、俺の目の前で、何の躊躇いもなく脱ぎ始めた。
勿論、ズボンもだ。
…。
「…お前には、少しくらい恥じらいというものはないのか?」
「?」
ないらしい。
仕方ないので、俺がくるりと背を向け、ベリクリーデが着替えるのを待つことにした。
しかし。
ベリクリーデは、恥じらいがないどころか。
「ジュリス」
「…何だよ」
「ブラジャーの紐、緩くなっちゃったから、直して」
ちょっとコンビニでおにぎり買ってきてよ、みたいなノリで。
とんでもないことを頼んできた。
俺は、自室からアイロンとアイロン台を持ってきて。
くっちゃくちゃになったベリクリーデのシャツに、アイロンをかけていた。
…何故、俺がこんなことをやらなければならないのか。
女中か何か?
だって、みっともない格好で、隊舎をうろうろしてたら、だらしないだろ。
少なくとも俺は、見るに耐えん。
かといって、こいつに「自分でアイロンかけろ」と言っても無駄なことは分かっている。
前、やらせたことがあるからだ。
あまりにしわくちゃの制服を着ているものだから、「アイロンくらいかけろ」とやらせてみたら。
出来上がったのは、アイロンの形にこんがりといい加減に焼き上がった、アイロン模様の焦げシャツだった。
何なら、アイロン台まで火傷を負っていた。
どういう使い方をしたら、そういうことになるんだ。
説教してみたが、本人は何が悪かったのか、さっぱり分かってないご様子で。
きょとんと首を傾げているのだから、怒ろうにも怒れない。
お陰で、アイロン新調する羽目になった。
もう二度とこいつにアイロンは貸さんと心に決めて、代わりに俺がやってる。
「ジュリス」
「何だよ」
「もう着替えて良い?」
「今アイロンがけしてるから、ちょっと待ってろ」
「分かった。じゃあ、立ってるの疲れちゃったから、ベッドに座って待っ…」
「は!?馬鹿、座ったら汚れ、」
慌てて振り返るも。
「…もう座っちゃった」
「…」
お前は、自分が泥だらけ葉っぱまみれであることを自覚してないのか?
一瞬にして、真っ白だったはずのシーツが、泥にまみれて汚れた。
あの…馬鹿っ…。
「…?何か悪かった?」
「…いや」
もう何も言わねぇよ。
俺もな、放っとけば良いんだけど。あいつが汚れたシーツで寝ようが、葉っぱまみれのパジャマを着てようが。
放っとけば良いんだろうけど。
…分かってるのに放っておいたら、後味悪いだろうが。
もう良い。あの汚れたパジャマだって、洗濯しなきゃならないんだから。
ついでにシーツも洗えば良いだけだ。そう思おう。
俺は心の中で三度目の溜め息をつき、アイロンがけをして、パリッとしたシャツと制服を手渡した。
「ほら、出来たからこれに着替えろ」
「うん」
ベリクリーデは、シャツと制服を受け取るなり。
汚れたパジャマを、俺の目の前で、何の躊躇いもなく脱ぎ始めた。
勿論、ズボンもだ。
…。
「…お前には、少しくらい恥じらいというものはないのか?」
「?」
ないらしい。
仕方ないので、俺がくるりと背を向け、ベリクリーデが着替えるのを待つことにした。
しかし。
ベリクリーデは、恥じらいがないどころか。
「ジュリス」
「…何だよ」
「ブラジャーの紐、緩くなっちゃったから、直して」
ちょっとコンビニでおにぎり買ってきてよ、みたいなノリで。
とんでもないことを頼んできた。