神殺しのクロノスタシスⅢ
などと、大変な道のりを経て。
ようやく、ランジェリーショップに辿り着いた。
大変グラマラスなマネキンが、なかなかに際どい下着を身に着けていらっしゃる。
あー、男の来るところじゃねぇ…。
一刻も早く去りてぇ。
「ほら、ベリクリーデ行って来い」
「?」
「店員さんに聞いて、自分に合う下着を探してもらえ。予備に2、3着買っとけよ」
連れてきたのだから、あとは、俺はその辺で時間を潰そう…。
…と、思ったのだが。
「…」
何故か、ベリクリーデが動かない。
…何をやってるんだ?こいつは。
しばし待ってみたが、やっぱり動かない。
「…何やってるんだよ。早く店員さんに聞いて、買うもの選んでこい」
「駄目だよ」
は?
「駄目って、何が…」
「ジュリスも来てくれなきゃ、駄目」
「!?」
何を言ってるんだ、こいつは。
俺は男だぞ。こんな、女の園みたいな店に、足を踏み入れて良い人間じゃない。
「いや、無理だろ。俺男だし」
「?男の人も入ってるよ?」
ベリクリーデの指差す先には。
多分恋人同士なのだろう、若い男女のカップルが、イチャイチャと下着を選んでた。
こんなところでイチャつきやがってあいつらよ…。青春してんじゃねぇぞ。
まぁでも、彼氏なら許容範囲だろう。
だが、たかが職場の同僚、はさすがに無理だ。
何より、俺自身が入りたくない。
何が嬉しくて、女モノの下着売り場に。
「俺は行かない。一人で行って来い」
「無理」
…やけに頑なだな。
「何でだよ?」
「だって、ジュリスと約束したもん」
「…」
「ジュリスの傍から離れない。知らない人にも話しかけない。だからジュリスと一緒に選ぶんじゃなきゃ、行けない」
…俺のせいだった。
そうか。
そうだな。完全に俺が悪い。
俺は、早くも六回目の溜め息をついた。
ベリクリーデの愚かさではなく、自分の愚かさに天を仰いで。
…あんな約束、させるんじゃなかった。
「…例外。今だけ例外だ。一人で…」
「一度した約束は、ちゃんと守りましょうって学院長が言ってた」
そうだな。お前が正しい。
俺が馬鹿だった。
…腹をくくれ。覚悟を決めろジュリス・レティーナ。
お前が言ったんだぞ。離れるな、話しかけるなって。
「…分かったよ…」
仕方なく。
本当に、本当に、誠に遺憾で不本意ながら。
俺は、女性専用ランジェリーショップに、足を踏み入れることにした。
そういうの敏感な人、本当ごめんな。
邪な気持ちは一切ないから、あしからず。
ようやく、ランジェリーショップに辿り着いた。
大変グラマラスなマネキンが、なかなかに際どい下着を身に着けていらっしゃる。
あー、男の来るところじゃねぇ…。
一刻も早く去りてぇ。
「ほら、ベリクリーデ行って来い」
「?」
「店員さんに聞いて、自分に合う下着を探してもらえ。予備に2、3着買っとけよ」
連れてきたのだから、あとは、俺はその辺で時間を潰そう…。
…と、思ったのだが。
「…」
何故か、ベリクリーデが動かない。
…何をやってるんだ?こいつは。
しばし待ってみたが、やっぱり動かない。
「…何やってるんだよ。早く店員さんに聞いて、買うもの選んでこい」
「駄目だよ」
は?
「駄目って、何が…」
「ジュリスも来てくれなきゃ、駄目」
「!?」
何を言ってるんだ、こいつは。
俺は男だぞ。こんな、女の園みたいな店に、足を踏み入れて良い人間じゃない。
「いや、無理だろ。俺男だし」
「?男の人も入ってるよ?」
ベリクリーデの指差す先には。
多分恋人同士なのだろう、若い男女のカップルが、イチャイチャと下着を選んでた。
こんなところでイチャつきやがってあいつらよ…。青春してんじゃねぇぞ。
まぁでも、彼氏なら許容範囲だろう。
だが、たかが職場の同僚、はさすがに無理だ。
何より、俺自身が入りたくない。
何が嬉しくて、女モノの下着売り場に。
「俺は行かない。一人で行って来い」
「無理」
…やけに頑なだな。
「何でだよ?」
「だって、ジュリスと約束したもん」
「…」
「ジュリスの傍から離れない。知らない人にも話しかけない。だからジュリスと一緒に選ぶんじゃなきゃ、行けない」
…俺のせいだった。
そうか。
そうだな。完全に俺が悪い。
俺は、早くも六回目の溜め息をついた。
ベリクリーデの愚かさではなく、自分の愚かさに天を仰いで。
…あんな約束、させるんじゃなかった。
「…例外。今だけ例外だ。一人で…」
「一度した約束は、ちゃんと守りましょうって学院長が言ってた」
そうだな。お前が正しい。
俺が馬鹿だった。
…腹をくくれ。覚悟を決めろジュリス・レティーナ。
お前が言ったんだぞ。離れるな、話しかけるなって。
「…分かったよ…」
仕方なく。
本当に、本当に、誠に遺憾で不本意ながら。
俺は、女性専用ランジェリーショップに、足を踏み入れることにした。
そういうの敏感な人、本当ごめんな。
邪な気持ちは一切ないから、あしからず。