神殺しのクロノスタシスⅢ
「そんな訳だから、令月君。君は何も心配しなくて良いんだよ」

「うん…」

シルナは、安心させるように令月に言った。

しかし。

「レポートの期限は、ちゃんと守ってもらいますよ」

イレースは、相変わらず容赦がなかった。

そして、俺も。

「良いか、もう独断専行はなしだぞ。今度こそ、今度こそ約束を守れ」

「…破ったら、どうなるの?」

何だ。破ること前提か?

そうだな、じゃあ今度は、絶対破りたくない罰則を定めるとしよう。

「全科目レポートを、20枚に増量する」

「…鬼だ…」

何とでも言え。

ようは、約束を破らなければ良いだけの話だ。

簡単だろう。

「…ねぇ、不死身先生」

「はい?」

「…本当に、『八千歳』の心を読んだんだよね?」

「…?読みましたけど。それが何か?」

「いや…」

「あ、僕の読心魔法を疑ってます?失礼な~」

「そういう訳じゃないけど…」

…まだ、実感が湧かないのか。

本当に、すぐりがこちら側についたと判断出来かねているのか。

それは俺達も同じだ。

だが。

「大丈夫だ、令月」

すぐりは、シルナの生徒になったのだ。

シルナの生徒で、更正出来なかった奴が、一人でもいるか?

「安心しろ。すぐりは、ちゃんとイーニシュフェルトの生徒になるよ」

「…うん」

きっと、そうしてみせる。

「…ちなみに、僕と同室じゃないよね?」

「初日で喧嘩が勃発しそうだから、却下」

学生寮で決闘始められたら、堪ったもんじゃないからな。

二人を接触させるのは、もう少し先の方が良さそうだ。

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