神殺しのクロノスタシスⅢ
大急ぎで、俺は第2隊舎に辿り着いた。
場所は確か…調理室だったな。
一階食堂のすぐ隣が調理室だ。
「…!」
隊舎に入ってすぐ、俺は何かが焦げたような匂いを感じた。
そして、すぐに分かった。
これは、肉が焦げる匂いだ。
既に、戦いが始まってるらしい。
それなのに何故か、これと言った戦闘音は聞こえないが…。
とにかく、この目で見てみないことには分からない。
全速力で走って、調理室の方に向かうと。
青ざめた顔の魔導師達が、調理室付近に集まっていた。
…!
「お前ら!大丈夫か?」
彼らに向かって、俺が声をかけると。
「じゅ、ジュリス大隊長!」
「な、何とか…何とかしてください…!」
地獄に仏とばかりに、彼らは俺に縋るような視線を向けた。
「心配するな、少し下がってろ」
「は、はい…」
俺は、調理室を取り巻く部下達を、後ろに下がらせ。
焦げ臭い匂いの大元に向かって、歩みを進めた。
調理室は、もくもくと白い煙が上がっていて。
そこに、ベリクリーデの姿を見つけた。
「!ベリクリーデ!大丈夫か!?」
「?ジュリス?」
返事があった。
良かった、どうやら、まだ連れ去られてはいないようだな。
…ん?
煙ではっきりと見えないが、ベリクリーデ以外の人間…敵の…姿が、何処にもない。
いや、分からない。もしかしたら、迷彩魔法か何かで、姿を隠しているのかも…。
「…何処にいる?」
姿を隠して、奇襲を仕掛けようとしているのかもしれないが。
気配を気取れ。敵の位置を…。
すると。
「丁度良かった、ジュリス」
「ん?」
てこてこと近寄ってきたベリクリーデが、何故か珍しく嬉しそうな顔をしていることに気づいた。
お前、敵襲があったのに、何で笑っ、
「これ作ったんだよ。はい、ジュリス。ハッピーメリーバレンタインイヤー」
「…」
ベリクリーデの持つ、白い皿の上には。
消し炭に、ろうそくが一本、爪楊枝みたいに突き刺されていた。
…?
…。
「…」
たっぷり30秒ほど考えて。
認めたくはないが、俺はもしかして。
何か、とんでもない勘違いをしているのかもしれないということに、ようやく気づいた。
そして、次に何を言おうか考えた。
紛らわしいことすんな!とか。
敵襲かと思ったじゃねぇか!とか。
料理下手にも程があるだろ!とか。
しかし、出てきた言葉は。
「…色々混じってんだけど、今9月だぞ」
それだけだった。
自分でも予想以上に冷静で、逆にビビった。
場所は確か…調理室だったな。
一階食堂のすぐ隣が調理室だ。
「…!」
隊舎に入ってすぐ、俺は何かが焦げたような匂いを感じた。
そして、すぐに分かった。
これは、肉が焦げる匂いだ。
既に、戦いが始まってるらしい。
それなのに何故か、これと言った戦闘音は聞こえないが…。
とにかく、この目で見てみないことには分からない。
全速力で走って、調理室の方に向かうと。
青ざめた顔の魔導師達が、調理室付近に集まっていた。
…!
「お前ら!大丈夫か?」
彼らに向かって、俺が声をかけると。
「じゅ、ジュリス大隊長!」
「な、何とか…何とかしてください…!」
地獄に仏とばかりに、彼らは俺に縋るような視線を向けた。
「心配するな、少し下がってろ」
「は、はい…」
俺は、調理室を取り巻く部下達を、後ろに下がらせ。
焦げ臭い匂いの大元に向かって、歩みを進めた。
調理室は、もくもくと白い煙が上がっていて。
そこに、ベリクリーデの姿を見つけた。
「!ベリクリーデ!大丈夫か!?」
「?ジュリス?」
返事があった。
良かった、どうやら、まだ連れ去られてはいないようだな。
…ん?
煙ではっきりと見えないが、ベリクリーデ以外の人間…敵の…姿が、何処にもない。
いや、分からない。もしかしたら、迷彩魔法か何かで、姿を隠しているのかも…。
「…何処にいる?」
姿を隠して、奇襲を仕掛けようとしているのかもしれないが。
気配を気取れ。敵の位置を…。
すると。
「丁度良かった、ジュリス」
「ん?」
てこてこと近寄ってきたベリクリーデが、何故か珍しく嬉しそうな顔をしていることに気づいた。
お前、敵襲があったのに、何で笑っ、
「これ作ったんだよ。はい、ジュリス。ハッピーメリーバレンタインイヤー」
「…」
ベリクリーデの持つ、白い皿の上には。
消し炭に、ろうそくが一本、爪楊枝みたいに突き刺されていた。
…?
…。
「…」
たっぷり30秒ほど考えて。
認めたくはないが、俺はもしかして。
何か、とんでもない勘違いをしているのかもしれないということに、ようやく気づいた。
そして、次に何を言おうか考えた。
紛らわしいことすんな!とか。
敵襲かと思ったじゃねぇか!とか。
料理下手にも程があるだろ!とか。
しかし、出てきた言葉は。
「…色々混じってんだけど、今9月だぞ」
それだけだった。
自分でも予想以上に冷静で、逆にビビった。