神殺しのクロノスタシスⅢ
トリュフチョコとチョコマフィンを、紅茶と共に美味しくいただいた後。
最後の後片付けは、俺が担当した。
ベリクリーデは指火傷してるし。
何よりさっき、洗剤ぶちまけられたし。
もう二度と、俺はベリクリーデに皿洗いはさせない。
ので、ベリクリーデは後ろで待機だ。
すると。
「美味しかったね、ジュリス」
ご機嫌なベリクリーデが、声をかけてきた。
もう、それ何回目だ?
「あぁ、美味かったな」
このやり取り、もう30回はやってる。
食べながらもずっとだったからな。美味しいね美味しいねって、ずーっと言ってた。
昔、収容所にいたとか言ってたからな。
こんなもの、食べたことなかったんだろう。
「ねぇ、ジュリス」
「何だ?」
また、美味しかったね、か?31回目の。
しかし。
「ジュリスは、何でも出来て、凄いね」
…。
違ってた。
「何だよ、いきなり」
「こんな美味しいチョコレートの作り方知ってたり、火傷の手当も出来るし、回復魔法も使えるし」
「あぁ…」
昔は、そんなこと言われなかったのにな。
今になって、よく言われるようになったよ。
「年の功って奴だよ。長く生きてりゃ、大抵のことは出来るようになる」
何の因果かどういう運命なのか。
こんなに長く、生きながらえてしまったもんだからな。
これだけ長く生きてれば、そりゃあ出来ることも増えるし、無駄な知識も必要な知識も、色々頭に入ってくる。
別に、俺が特別だからって訳じゃない。
「じゃあ、私も長生きしてたら、ジュリスみたいになれるかな?」
「…」
…。
…現時点で、この有り様だからな。
お前が今の俺みたいになるには、多分。
俺が生きてきた年月の、軽く2倍は生きなきゃならないだろうな。
「何で黙るの?」
「あ、いや…。そうだな、なれるよ」
人間は、可能性の塊だからな。
今はこんなベリクリーデでも、数千年もたてば、もっと頼り甲斐のある魔導師に…。
…なる、のか?
いまいち確信が持てないのが、辛いところだが。
しかし。
「お前も長生きしろ。長生きしてたら、人間、嫌でも成長してるもんだ」
「そっか。ジュリスみたいになれるなら…私、頑張って長生きするね」
「あぁ、そうしろ」
せめて、数千年後には。
調理室で異臭騒ぎを起こしたり、食器用洗剤ひっくり返したりしないくらいは…成長しててくれよ?
最後の後片付けは、俺が担当した。
ベリクリーデは指火傷してるし。
何よりさっき、洗剤ぶちまけられたし。
もう二度と、俺はベリクリーデに皿洗いはさせない。
ので、ベリクリーデは後ろで待機だ。
すると。
「美味しかったね、ジュリス」
ご機嫌なベリクリーデが、声をかけてきた。
もう、それ何回目だ?
「あぁ、美味かったな」
このやり取り、もう30回はやってる。
食べながらもずっとだったからな。美味しいね美味しいねって、ずーっと言ってた。
昔、収容所にいたとか言ってたからな。
こんなもの、食べたことなかったんだろう。
「ねぇ、ジュリス」
「何だ?」
また、美味しかったね、か?31回目の。
しかし。
「ジュリスは、何でも出来て、凄いね」
…。
違ってた。
「何だよ、いきなり」
「こんな美味しいチョコレートの作り方知ってたり、火傷の手当も出来るし、回復魔法も使えるし」
「あぁ…」
昔は、そんなこと言われなかったのにな。
今になって、よく言われるようになったよ。
「年の功って奴だよ。長く生きてりゃ、大抵のことは出来るようになる」
何の因果かどういう運命なのか。
こんなに長く、生きながらえてしまったもんだからな。
これだけ長く生きてれば、そりゃあ出来ることも増えるし、無駄な知識も必要な知識も、色々頭に入ってくる。
別に、俺が特別だからって訳じゃない。
「じゃあ、私も長生きしてたら、ジュリスみたいになれるかな?」
「…」
…。
…現時点で、この有り様だからな。
お前が今の俺みたいになるには、多分。
俺が生きてきた年月の、軽く2倍は生きなきゃならないだろうな。
「何で黙るの?」
「あ、いや…。そうだな、なれるよ」
人間は、可能性の塊だからな。
今はこんなベリクリーデでも、数千年もたてば、もっと頼り甲斐のある魔導師に…。
…なる、のか?
いまいち確信が持てないのが、辛いところだが。
しかし。
「お前も長生きしろ。長生きしてたら、人間、嫌でも成長してるもんだ」
「そっか。ジュリスみたいになれるなら…私、頑張って長生きするね」
「あぁ、そうしろ」
せめて、数千年後には。
調理室で異臭騒ぎを起こしたり、食器用洗剤ひっくり返したりしないくらいは…成長しててくれよ?