神殺しのクロノスタシスⅢ
その後。
もう傷も塞がったし、魔力も回復してきたので。
僕は医務室を出て、今夜は学生寮の自分の部屋で寝ることにした。
この学生寮の中に、既に『八千歳』がいるんだよな。
挨拶しに行った方が良いんだろうか?
…。
…。
…。
…喧嘩になったら、同室の人に迷惑だから、やめとこう。
「ただいま」
仕方なく、真っ直ぐ自分の部屋に戻ると。
「あ、令月!お帰り」
クラスメイトの、ユイト・ランドルフ君が迎えてくれた。
そういえば君、回り回って、僕の命の恩人なんだよね。
彼が不死身先生に、僕の様子が変だったって伝えてくれなければ。
今頃僕、『八千歳』と一緒に、森の奥で自然に還ってるところだったよ。
しかし、ユイト君には、何も話してないらしい。
「良かった。やっと戻ってこれたんだな。大丈夫?体調」
「うん、良くなったよ」
『八千歳』と戦ったとか、僕が黙って学院を抜け出したとか。
ユイト君には、何も教えてない。
教えない方が良いだろう。どう考えても。
元暗殺者と、現役暗殺者が決闘してましたなんて、口が割けても言えない。
故に。
僕の様子がおかしいと思ったのは、単にユイト君の勘違いで。
僕は大人しく学生寮で寝ていたけど、具合が悪化して、医務室に担ぎ込まれたことになっている。
ユイト君には悪いけど、そういうことにしておかなくてはならないのだ。
ごめんね。
「心配したよ。あの後、医務室に担ぎ込まれたんだって?」
「うん。目眩がして、世界が回り始めたから、とうとうハルマゲドンが始まったのかと思った」
「…勘弁してくれよ、全く…」
危うく世界が終わるところだったね。
僕は、危うく人生が終わるところだったよ。
「もう元気になったから。大丈夫」
「良かったよ。今度からは、具合悪くなったら素直に医務室に行ってくれよ?頼むから」
「分かった」
ユイト・ランドルフ君の顔を見て思った。
怒られたし、レポートの罰則も受けることになったけど。
でも、やっぱり一人で行って良かった。
僕が誰かに他言していたら、彼は今頃、この世にはいなかったかもしれないから。
もう傷も塞がったし、魔力も回復してきたので。
僕は医務室を出て、今夜は学生寮の自分の部屋で寝ることにした。
この学生寮の中に、既に『八千歳』がいるんだよな。
挨拶しに行った方が良いんだろうか?
…。
…。
…。
…喧嘩になったら、同室の人に迷惑だから、やめとこう。
「ただいま」
仕方なく、真っ直ぐ自分の部屋に戻ると。
「あ、令月!お帰り」
クラスメイトの、ユイト・ランドルフ君が迎えてくれた。
そういえば君、回り回って、僕の命の恩人なんだよね。
彼が不死身先生に、僕の様子が変だったって伝えてくれなければ。
今頃僕、『八千歳』と一緒に、森の奥で自然に還ってるところだったよ。
しかし、ユイト君には、何も話してないらしい。
「良かった。やっと戻ってこれたんだな。大丈夫?体調」
「うん、良くなったよ」
『八千歳』と戦ったとか、僕が黙って学院を抜け出したとか。
ユイト君には、何も教えてない。
教えない方が良いだろう。どう考えても。
元暗殺者と、現役暗殺者が決闘してましたなんて、口が割けても言えない。
故に。
僕の様子がおかしいと思ったのは、単にユイト君の勘違いで。
僕は大人しく学生寮で寝ていたけど、具合が悪化して、医務室に担ぎ込まれたことになっている。
ユイト君には悪いけど、そういうことにしておかなくてはならないのだ。
ごめんね。
「心配したよ。あの後、医務室に担ぎ込まれたんだって?」
「うん。目眩がして、世界が回り始めたから、とうとうハルマゲドンが始まったのかと思った」
「…勘弁してくれよ、全く…」
危うく世界が終わるところだったね。
僕は、危うく人生が終わるところだったよ。
「もう元気になったから。大丈夫」
「良かったよ。今度からは、具合悪くなったら素直に医務室に行ってくれよ?頼むから」
「分かった」
ユイト・ランドルフ君の顔を見て思った。
怒られたし、レポートの罰則も受けることになったけど。
でも、やっぱり一人で行って良かった。
僕が誰かに他言していたら、彼は今頃、この世にはいなかったかもしれないから。