神殺しのクロノスタシスⅢ

ジュリス…。

「…何で謝るの？」

悪い子だったのは、私なんだから。

私が、謝らなきゃならないんじゃないの？

「ずっと謝ろうと思ってたんだ。お前に…冷たいこと言っちまったから」

「…そうだっけ？」

「…忘れてんのかよ…」

どれのことだろう。

「…ほら、線路の。土砂崩れ事件のとき」

「あぁ、あのとき？」

「そう。あのとき俺、お前に酷いこと言っただろう？」

「別に気にしてないよ？」

「…」

ジュリスは、呆れたような、惚けたような顔で天を仰ぎ。

「…ずっと気にしてたのは、俺だけかよ…」

何か呟いていた。

「…まぁ、傷ついてないなら良いけどよ…」

「それより、私、いつもジュリスを怒らせちゃって、ごめんね」

「あ…？」

謝らなきゃならないのは、私の方。

いつもいつも、ジュリスを困らせて、怒らせて、足を引っ張る悪い子の私。

「私が足を引っ張るせいで、いつも…」

「…ばーか」

「いた」

軽くデコピンされた。

ちょっと痛かった。

「俺が何年生きてると思ってんだ。その程度で文句言うかよ」

「ジュリス…」

「良いか？もう、一人で独断専行すんな。お前は一人じゃないんだから。何でも相談しろ。腹割って話せ。助けてやるから。それが相棒ってもんだろ？」

「…うん」

「よし」

良かった。

ジュリス、もう怒ってない。

それに、私のこと相棒って…。

…そういえば。

「ねぇジュリス。早速一つ、相談があるんだけど」

「何だよ？」

「この間買ってくれたブラジャー、どうやってつけたら良いのか分かんないの。ジュリスつけてくれる？」

ジュリスが、椅子からひっくり返りそうになった。

何だろう。滑ったのかな。

「おまっ…。何の相談だよ！」

「だって今、ジュリスが何でも相談しろって言った。助けるって」

「い、言ったけど…それとこれとは話がちが、」

「一度言った約束は守れって、ジュリスが言ってた」

「あぁそうでしたね！はいはい！っつか、今までどうやってつけてたんだよ！？」

「え？頭からズボって被って…」

この間買ってくれたのは、ピチピチだから、頭から被れない。

「分かった。分かったよ。うちの女性部下に、つけ方教えてやってもらうよう頼むよ…」

「でもジュリスが助けてくれるって」

「俺がやれるか！」

怒られた。

やっぱりジュリス、怒るんだなぁ。

おこりんぼさんなのかもしれない。