神殺しのクロノスタシスⅢ
ベリクリーデの謎彼氏事件が解決した、その翌週のこと。

先週、自分の噴き出した紅茶で、作成中だった書類を駄目にしてしまったので。

今回また、改めて作成中である。

同じことを二回書かされるって、すげー面倒だよな。

でも、まぁ良い。ひとまず、ベリクリーデに彼氏がいないことはハッキリしたのだから…。

…すると。

「ジュリス隊長、お疲れ様です」

「あぁ、ありがとな」

例の部下が、またしても紅茶の差し入れ。

思えば俺は、この時点で気づくべきだったのかもしれない。

フラグが、凄まじい勢いで立ち始めていることに。

そのとき。

何処からか、ドン、ドン、と大きな爆発音らしき音がした。

「何だ…?」

「…?訓練でしょうか?」

「いや、訓練なら訓練場でやるだろ…」

多分、隊舎の近くで工事でも行ってるんだろう。

と、自分を納得させ。

差し入れてくれた熱い紅茶を啜ったとき、そのフラグが美しく立ち上がった。

いきなり、俺の執務室にベリクリーデの部下が駆け込んできたのだ。

「じゅ、ジュリス隊長!大変です、ベリクリーデ隊長が…地面に巨大な穴を開けてて!」

こうして。

俺は鮮やかに、二回目の書類を駄目にしてしまうことになったのだった。
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