神殺しのクロノスタシスⅢ
「げほっ…えほっ…」

「だ、大丈夫ですかジュリス隊長?」

心配してくれるのは有り難いが、心配なのは俺じゃない。

ベリクリーデと、地面だ。

見ると、書類が噴き出した紅茶によって、ベタベタになっていた。

またやり直しじゃねぇか畜生。

いや、今はそれよりも。

「穴?穴ってなんだよ。あいつ、今度は何やってんだよ!?」

俺は、駆け込んできたベリクリーデの部下に尋ねた。

しかし、彼は泣きそうな顔で訴えるばかりだった。

「わ、分からないんです…!ベリクリーデ隊長、意味不明なことを言ってて…!」

大丈夫。

あいつの言うことは、俺でさえ意味不明なときが多いから。

しかし、今回なそれだけではなかった。

「しかも、何故か隊長は野良犬を三匹ほど捕まえてきていて…!それをこれから焼くんだと、落ち葉や枯れ枝を集めて…!」

何をやろうとしてんだ、あの馬鹿。

血の気が引く、とはこのことを言うのだ。

焼くだと?犬を?野良犬を捕まえてきて?

もしかして、さっきの爆発音って…。

そう思ったら、もう居ても立っても居られなかった。

「分かった、すぐ行く!」

俺は、書類仕事を放り出して、女性隊舎に急いだ。
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